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会社案内
 
第16回CSR&コンプライアンス国際フォーラム2018が開催されました。
◆ 開催日時 平成30年 5月24日(木)
◆ 会場    東京ウィメンズプラザ (渋谷区神宮前)

CSR&コンプライアンス研究フォーラムと 日本アパレル工業技術研究会共催による
「第16回CSR&コンプライアンス国際フォーラム2018」が 開催されました。

冒頭、当会会長の岡本義行(法政大学特任教授)より開催の挨拶を致しました。


岡本義行氏

講演風景

最初のご登壇者
東京大学名誉教授、一般社団法人日本エシカル推進協議会 会長 山本良一氏
テーマ:「エシカル消費は何故必要か、−ビジネスの成否を分けるテーマであるかを考える−

山本良一氏

講演風景

2人目の講師:アディダスジャパン株式会社 Social & Environmental Affairs/グループ法務本部 
コンプライアンスマネジャー 奈良朋美氏
テーマ:「Workplace Standard + Modern Slavery Outreach Program

奈良朋美氏


講演風景

3人目の講師:一般社団法人オンワードクオリティセンター 理事長 山下隆氏
テーマ:「オンワード樫山における品質とCSR活動

山下隆氏

講演風景

最後の講師:カシオ計算機株式会社 執行役員 CSR推進部長 小林誠氏
テーマ:「カシオのCSR〜マテリアリティに基づく取り組み〜

小林誠氏

講演風景

なお、経済産業省製造産業局 生活製品課課長 杉山真様の出席を賜り、
公平公正なサプライチェーンへの取り組み、
外国人技能実習制度における労働問題についてのお話もございました。

杉山真氏

講演風景



 
フォーラムニュース ダウンロード
それぞれPDF形式です。



 
第15回CSR&コンプライアンス国際フォーラム2017が開催されました。

会場風景1

◆ 開催日時 平成29年 5月18日(木)
◆ 会場    江戸東京博物館 会議室

   

CSR&コンプライアンス研究フォーラムと
日本アパレル工業技術研究会共催による
「第15回CSR&コンプライアンス国際フォーラム2017」が
5月18日に江戸東京博物館で開催されました。

冒頭、当会会長の岡本義行(法政大大学院教授)より開催の挨拶を致しました。

CSR研究会が始まり15年が過ぎた。CSRやコンプライアンスという言葉も知られるようになった。商品の価値はこれまでの品質・コストで評価されたが、最近はそのほかにも”ethics”とか”ethical”といった考えが加わってきた。しかしその言葉の意味・定義などはまだはっきりと理解されてはいないようだ。 公正公平も同じだ。最近子供の貧困問題が顕在化してきて、奨学金が多額な借金となる問題もある。親の貧困が次世代へつながるのは公正公平な社会とは言えないのではないか といった問題意識。 別の視点では、教育は何のために行っているか、個人のためと同時に社会全体のため との視点もある。教育費は日本も欧州も米国も同じようなものだが、ヨーロッパは 授業料はかからない。米国では、親の収入で授業料が変る、日本は個人の負債(奨学金)と なっている状況だ。このように欧米では、すべての人が平等に教育を受ける権利があることから、平等、公平と同等のつまり"justice"とされている。 それらの背景にある、「社会のため」との認識が日本と欧米との認識を異にしている。 これらを踏まえ、今後益々"eco"の背景にあるものの考え方を突き詰めていけたらとの思いと、"ethical"や"justice"その概念を社会の中で活かせるビジネスが出てくるであろうことを期待して、開催の挨拶と致しました。

最初のご登壇者 :日本環境設計 代表取締役会長 岩元美智彦氏 テーマ:「世界統一の循環型社会へ」

繊維の分解技術
当社の黎明期は、工場の設備投資に当初約10億円のお金が必要であったが、その先行投資に充分お金を回せなかった。そこで、繊維の染色技術とエタノール生成技術とが近いことから、過去日本の繊維産業が盛んであった頃の古いプラントを使用し、量産技術を磨き初期投資を抑えた経緯がある。 具体的には、分別されていない雑多な古着に水を投入し、酵素の力で発酵を促し分解を行う。この状況から、糖ができ最終的に脱水することでエタノールが残ることになる。 エタノールは、自動車の燃料やプラスチェックの原料等に使用され、非常に汎用性の高い物質を作っておけば、この燃料で新たなサイクルが可能となっている。

ポリエステルの市場
同社がリサイクルを行っているポリエステル市場規模は、現在7.5兆ほどであるが今後15兆ほどに規模が大きくなる可能性があるといわれているので、この点に注目し技術レベルを高めている。 またポリエステルは、1着の古着で、1着の原料ができる。つまり、ほぼ1対1の関係となっており、ロスがない状況である。 その他、ポリエステル自体も何度再生しても物質の劣化が起こらないため、10回、100回でも再生が可能である。つまりこれからは、CO2を排出する地下資源を使用せず、製品から製品への転換が求められてきている。 世界のリサイクルの考え方は、水平リサイクルが一般的となっている。水平リサイクルとは、モノからモノができる、服から服ができることである。つまり、半永久的にモノの再生が可能となってきている。 この水平リサイクルによるCO2削減効果は、現段階では地下資源を使う場合と比べ、半分ほどの削減効果がある。 今年秋に、この水平リサイクルを可能にする工場である、完全循環の北九州工場が稼働予定となっている。

携帯電話のリサイクル
総務省の発表では、国内の携帯電話の回収リサイクルは約700万台、その内の約60%強を日本環境設計が請け負っている このリサイクルも、コットンやポリエステルのリサイクルと同様、携帯電話を分解せずそのままの状況で溶解し、金・銀・銅などへの物質へ変換を行っている。

なぜ、モノからモノへリサイクル可能なのか?
同社のリサイクルは、その物質そのもの(プラスチック、紙など)を見ておらず、そのモノの元素を見てリサイクルを行っている。その元素自体の循環さえすれば、劣化が起こらない。 世の中の物質は、燃えるものと燃えないものに分類される。 例えば、国内の家庭から出るごみは、4,000万tあるが、この技術を使うことで1,000万tの石油と同じ品質の高いプラスチックができる。 国内の総使用料は、960万tなので自動車も衣料品、文具も、石油に依存する必要がなくなることになる。 このため今や、埋蔵量から技術力への時代へと、世の中は変革している

持ち込む拠点(bringスポット)
「どこでリサイクルができたらベストか?」欧州、米国、日本の消費者にアンケートを取ったところ、「買ったお店」と答えた消費者が大半を占めた。そこで、各店舗にリサイクルボックスを設置し、リサイクル品を納めに来店し新たな商品を買ってもらうことをキャンペーンとして「フクフク プロジェクト」を実施した。 そのプラスチック版として、メガネやおもちゃ、携帯電話のリサイクルを促すキャンペーンとして「プラプラ プロジェクト」も実施している。 リサイクルボックスの設置は、店舗以外にも学校構内にも設置し、学生への環境教育、リサイクルの意識を高めることもあり、設置の協力を各種学校にお願いしている。 この取組は、国内はもとより、インド、バングラデシュで展開し、欧州では今年の夏からスタートを行う予定となっている。 回収拠点は、約150の国内企業や団体から協力を得て、特に各業界の小売業態が取組始めてから業界の垣根を越えて、広がりはじめている。 この取組は、1社だけが取り組んだとしてもその都度課題が出てきて、結局のところ課題解決は難しい。そこで同業他社や、異業種の企業も協力し取り組むことで、地下資源よりも効率的に資源を生み出し、世界標準(デファクトスタンダード)を構築することを目指している。 このような動きから、回収拠点を増やしている。

一般消費者へのリサイクル啓蒙
リサイクルや環境を一般に広める取り組み(理解と行動は別) リサイクルや環境に興味のある人々は、全体の2から3%にとどまっている。そこで、 たくさんの方に興味を持って頂くためには、楽しくなくては広がらないことに注目した。 そこで同社は、エンターテイメントの要素を取り入れることを実行している。例えば、回収ボックスの隣でワークショップを開催し、SNSで情報を発信し拡散するように積極的に発信したり、音楽と環境をテーマにイベントを開催したり、取り組みを行っている。 このような取り組みを進めていると、同社のイベントに参加する一般の参加者は、自宅で不要となったおもちゃや服などを持参してくることが自然と定着してきている。店側も、多数の顧客が集まることで新たな売り上げにもつながり、同社はもとより店舗側にもメリットのあるイベントになっている。 そのほか、宇宙服と環境、音楽と環境、アニメと環境など、環境=楽しい、面白いということを定着させる企画を実施している。

リサイクルの象徴「デロリアン」
同社の代名詞といえば、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の「デロリアン(タイムマシンカー)」がその象徴である。 「デロリアン」は、ユニバーサルスタジオ社(以下ユニバーサル社)が権利を有し、一般的に簡単には権利を有することが困難であった。 そこで同社は、ほとんどコネクションもない状況からユニバーサル社に売り込みを行い、いくつかのポイントに絞りプレゼンを行った。 まずは、地上のごみを資源に変換する循環型社会を目指す考え方に、多くの日本企業の内数少ない経営者から賛同を得られている点を強調。次に、地下資源を奪い合う必要がなくなり戦争やテロをなくすことができる点、最後に紛争がなくなれば子供たちの笑顔を取り戻すことができるとし粘り強く説明を行った。 このように、循環型リサイクルを進めることは、つまりは地下資源をめぐる争いをなくすことに繋がり、紛争に至る要因を取り除くことが可能ではないかと説得を行い約1ヵ月弱でユニバーサル社から許諾を得ることに成功した。 最近では、その「デロリアン」が広告塔となって、日本全国のイベントに声がかかり、世界では150か国でも放映されBBC、CNNなどでは特番が組まれるなど、その他各メディアを通じて紹介されることとなった。 また、昨年10月21日には、ユニバーサル社の公式イベントとして東京台場でデロリアンを走らせようというイベントを大々的におこなった。 実際には、まだまだ環境に興味がある人はイベントに集まった中では数%程度であったようだが、メディアの効果は大きく「デロリアンと写真を撮りたい」「実際に乗ってみたい」という消費者が大半で、同社の知名度を上げるに絶好の機会となった。 このイベントに参加するには、不要な服やモノを持って来るように促し、リサイクルは楽しいイベントであることも、消費者に印象付けて成功裏に終わった。

繋がる社会
まずは、一般の消費者とリサイクルを繋げることからスタート。「環境は大事、循環型社会でテロをなくそう」などの声を繋げ、昨年の時点で約500万人の人々がリサイクルのイベントに参加している。 次に回収拠点を繋げる。従来バラバラであった拠点を改め、すべての消費者がどこに持って行っても安全で安心な仕組みを使い、回収拠点を横につなぐことで消費者が回収拠点に容易にアクセスできるようにした。 次に技術分野を繋げる。従来の古い鉄工所の工場をベースに部分的に改良し、コストを大幅に抑えリサイクルインフラを構築することに成功し、また石油で生成された製品と同じ品質の商品を販売につなげることにも成功している。 最低限の条件として石油と同じ品質の樹脂(材料)を、提供することで同社は成功している。この樹脂は、石油を一滴も使用していない樹脂(材料)であるため、各メーカー側では安心して使用することができる。 地上資源の循環型社会、服から服が出来、おもちゃからおもちゃが出来る究極の経済圏が出来上がることとなる。 つまりは、(地下資源を使用せず)地上で出来た商品を販売し、購入することが、環境と経済を結ぶその完成形として俄然注目されて来ている。

世界的ブランドの危機感
世界のトップブランドは、「One recycle for One Sell(一つ売るなら 一つリサイクルを)」を宣言し、平行リサイクル、水平リサイクルを目指し自社のブランディングを高めようとしている。 つまり、自社の製品が要因で紛争が起こり、不買運動がおこった場合にネットで叩かれ、欧米の経営者は大きな危機感を常に抱いているという。 トップブランドは、自社製品をすべて回収し、すべてリサイクルし再生した製品を販売することを目指している。

世界の紛争を終わらせる!
岩元氏の持論は、日本から発信する地下資源争奪戦を終わらせるのは、お金でもなく、武器でもなく、わくわくドキドキの消費者参加の循環型社会である。その社会が出来れば、無理なく環境と経済と平和が維持されるはずなので、1社でも多くの企業が賛同されることを懇願されていた。 最後に、「バック・トゥ・ザ・フューチャーV」エンディングのフレーズ「君たちの未来はまだ白紙という意味さ、誰もがね…自分の未来は自分で切り開くものなのだ」、この言葉を胸に我々も勇気をもって次の時代のために将来にむけて頑張りましょう、と締めくくり講演を終えた。

2人目の講師:特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパン 事務局長 中島佳織氏 テーマ:「サステナブル調達としての国際フェアトレード認証と監査のしくみ」

国際フェアトレード認証と監査のしくみを紹介、サステナブルな調達活動への貢献について説明した。 国際フェアトレード認証ラベルとは コーヒー、バナナ、カカオ、コットン等、農業産品に関わる原材料の生産者、輸出入業者、製造者等、一連のサプライチェーンに関わる全ての関係者が認証を受けることにより、最終製品にフェアトレード認証ラベルを表示できる仕組みとなっている。 繊維のコットンはコーヒーに比べてサプライチェーンが長いが、サプライチェーン上の全ての関係者が認証を受けることにより認証ラベルを表示できる。現在では世界125カ国で認証商品が流通している。

国際フェアトレードの組織
この仕組みを運用している世界組織体系は、日本等が含まれる認証ラベルの管理を行う消費国の組織と、コーヒーやバナナ、カカオ等を産出する発展途上国が含まれる生産国の組織に分けられる。 この認証ラベルの仕組みは市民運動を組織化したのが始まりで、1988年オランダで誕生し約30年が経過した。日本では1993年に設立され今年で24年目となる。

フェアトレードの対象商品と問題点
フェアトレードは発展途上国では重要な一次産品であるコーヒー、お茶、バナナ、砂糖、カカオ、コットン、香辛料等を対象としている。 コーヒーは石油に次ぐ一次産品で、世界第二位の貿易額を占めており、日本は世界第三位の消費国である。コーヒーの産出国の98%は貧困国であり、気候変動により将来的に収穫できないことが懸念されている。 貧困問題に次いで児童労働が問題となっており、西アフリカでは200万人が児童労働を行っているとの報告がある。これは親の手伝いのレベルではなく、教育の機会は奪われ、健康に有害な危険な作業を含んでいる。 コットンは世界的に90%が発展途上国で生産され、価格の低迷だけでなく、農薬(殺虫剤)による健康被害及び土壌汚染と児童労働が問題となっている。 カカオの生産は児童労働と人身売買が問題である。ウズベキスタンでは綿花の収穫シーズンには国家を挙げて児童労働を奨励している。世界のサッカーボールの70%はパキスタンで製造され、児童労働が問題となっているが、それをフェアトレードの対象とすることで解決しようとする動きがある。バングラデシュのラナプラザ崩壊事故は2015年に映画化され、観客は有名なブランドがそこで製造されていたことを知った。以降生産現場で起きていることが服を購入する際の基準の一つとなった。 近年、奴隷労働を禁止する法律がイギリスで施行され、アメリカでも強制労働により製造された製品の輸入を禁止する法律が施行されている。児童労働・強制労働をサプライチェーンから排除しないとビジネスが成り立たない時代となっている。

国際フェアトレード基準の概要
一つは経済的に、生産コストを反映した最低価格を保証し、さらに地域のインフラを整備など、発展を助長するプレミアム価格を上乗せしたものであること。二つは社会的に、人権を擁護し、差別、強制労働、児童労働のない社会であること。三つは環境的に、禁止薬物を使用せず、生物多様性に配慮された事業であること。プレミアム価格とは、医療や学校などの社会的インフラに加え、気候変動への対策、生産性や品質の向上に資するものである。 国際フェアトレード基準は基本要求事項と発展項目(推奨事項)に分けられ、発展項目は監査の判定に影響を与えるものではない。

国際フェアトレード認証の監査
ISO17065(製品認証機関の認定基準)を基本に監査している。また、ISEALアライアンスによるサステナビリティに関するガイドラインも作成している。 監査は少なくとも1年半に一度、全事業者に対して実施している。日本の商社へは契約書の内容、海外送金の実態について監査している。監査結果を通知し、是正措置完了後に認証証または更新認証証を発行している。 コットン関係では人権が問題である。ILO条約でも人権に関する要求が多く、縫製工場内の人権、賃金、性差別、労働環境などを監査している。

フェアトレード認証の意義
単なる認証機関でなく、サステナブルな社会を目指す活動団体である。フェアな貿易を行い、生産者・労働者を貧困から救い、消費者が参加する活動を目指している。 2015年では小売価格ベースで約1兆円規模まで拡大。スターバックスコーヒーは世界一のコーヒー認証を取っている。ネスレもネスプレッソに使用するフェアトレード認証製品を増やし、ロンドン地下鉄のユニフォームはフェアトレード認証を取得し、スポーツ用品のPUMAも認証商品を増やしている。 日本国内では180社が参加し、市場規模は180億円(世界の1%)と少ないが、近年コットンが伸びている。 社内用調達品にフェアトレード認証商品を採用になる会社も増えており、社内食堂や来客用、株主総会用のお土産に採用されている。

フェアトレード認証の拡がり
フェアトレードタウンと言われる自治体の活動も広がっており、ロンドン、パリ、ローマ、ブリュッセル、アムステルダム、ストックホルム等、世界28カ国1830の自治体が認証されている。日本でも熊本市、名古屋市、逗子市が認証され、今秋には浜松市が認証される予定。地域社会の参加も増えている。 大学のサークルにもフェアトレードサークルがあり、大学の売店やカフェテラスで販売・提供されるものにもフェアトレード認証品が増えている。 2015年に国連で採用されたSDGsにはフェアトレードで規定された内容が多く採用された。慈善事業だけでなく、事業としてフェアトレードを実践することを要求している。 2020年の東京オリンピック調達コードで、選手村や売店で提供される農産品は、海外産のものはフェアトレードであることが規定された。 しっかりとフェアトレードに対応し、認証監査を得ることは、企業価値を向上させ、ファンを増やし、消費者の共感を得るためのヒントとして活用頂きたい。

続いて3人目の講師 一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター 松岡秀紀氏 テーマ:「人権と企業のCSRについて」

松岡秀紀氏は、「ビジネスと人権」の基本を解説し、企業のCSRと人権に対する配慮について説明した。

国家レベルの取組み
2015年ドイツ国エルマウで開かれたG7サミット宣言に、維持可能なサプライチェーンを促進と、「ビジネスと人権」に関する内容が盛り込まれた。これは翌年の2016年に開かれた伊勢志摩サミットにも引継がれた。 「ビジネスと人権」は国家が策定する政策戦略となっており、国別行動計画(NAP)として策定されるようになってきている。

「影響」がCSRの基本
企業は従業員や調達先、消費者、環境へ「影響」を与えている。この「影響」から考えるとCSRと「ビジネスと人権」が繋がっていることが解る。 CSRは社会に与える「影響」に対する企業の責任を意味し、社会、環境、倫理、人権、消費者の懸念を企業活動の中核に統合し、構築するものである。

人権へのマイナスの「影響」への対処と「ビジネスと人権」の基本
経済のグローバル化と多国籍企業の影響力が増大し、バリューチェーンが世界規模化するとともに、発展途上国での人権問題が顕在化している。 企業活動により、人権に負の「影響」を引き起こすことを回避し、取引関係による企業の事業、製品、サービスと直接つながっている人権への負の「影響」を防止しなければならない。

人権デューディリジェンス
人権デューディリジェンスの基本的な手順は以下の通りであり、企業はその実施・評価内容を報告する義務がある。 @ 負の「影響」の特定、分析、評価 A 「影響」の防止と軽減 B 追跡、評価 C 公開、報告

共通言語としての人権
人権はファクター(要素)である。人権は国際的に認められた権利で、それを尊重するのは企業の責任である。 企業はバリューチェーンのあらゆる事業活動中の要素として捉え、特別な問題ではなくふつうの実務課題として、社内浸透させることが基本である。 潜在的人権問題についてもリスクとして捉える必要がある。企業は何の権利か?誰の権利か?どこで?どのように尊重するかを、企業活動の中で捉えることがポイントで、人権を共通言語として、人権を侵害してしまう危険性を除去する必要があると、現実に即した留意点を述べ講演を終えた。

 

 

 
岡本義行会長
岡本義行会長
(法政大学大学院教授)
岩元美智彦氏
岩元美智彦氏
(日本環境設計株式会社)

会場風景2

中島佳織氏
中島佳織氏
(fairtrade label japan)
松岡秀紀氏
松岡秀紀氏
(アジア・太平洋人権情報センター)

会場風景3

 
 
第14回CSR&コンプライアンス国際フォーラム2016が開催されました。

会場風景1

◆ 開催日時 平成28年 5月19日(木)
◆ 会場    江戸東京博物館 会議室

   

CSR&コンプライアンス研究フォーラムと
日本アパレル工業技術研究会共催による
「第14回CSR&コンプライアンス国際フォーラム2016」が
5月19日に江戸東京博物館で開催されました。

冒頭、当会会長の岡本義行より開催の挨拶を致しました。

CSR研究会が始まり15年が過ぎた。CSRやコンプライアンスという言葉も知られるようになった。商品の価値はこれまでの品質・コストで評価されたが、最近はそのほかにも「ethics」とか「ethical」といった考えが加わってきた。しかしその言葉の意味・定義などはまだはっきりと理解されてはいないようだ。

公正公平も同じだ。最近子供の貧困問題が顕在化してきて、奨学金が多額な借金となる問題もある。親の貧困が次世代へつながるのは公正公平な社会とは言えないのではないか といった問題意識。 別の視点では、教育は何のために行っているか、個人のためと同時に社会全体のため との視点もある。教育費は日本も欧州も米国も同じようなものだが、ヨーロッパは 授業料はかからない。米国では、親の収入で授業料が変わる、日本は個人の負債(奨学金)と なっている状況だ。このように欧米では、すべての人が平等に教育を受ける権利があることから、平等、公平と同等のつまり「justice」とされている。 それらの背景にある、「社会のため」との認識が日本と欧米との認識を異にしている。 これらを踏まえ、今後益々「eco」の背景にあるものの考え方を突き詰めていけたらとの思いと、「ethical」や「justice」の概念を社会の中で活かせるビジネスが出てくるであろうことを期待して、開催の挨拶と致しました。

最初のご登壇
国際グリーン購入ネットワーク 会長 中原秀樹氏
テーマ「グリーン購入からサステナブル購入、そしてエシカル購入へ」


20年ほど前、リタイア(定年)し社会貢献しようと思った。今後は環境調和型製品が重要になるだろうと考え、グリーン購入ネットワークを作った。 今日のテーマでもあるサステナブル購入、CSR購入、最近では、市場での倫理といった問題も出てきている。エシカル(倫理)も注目されている。今日の市場経済の中でこれらの問題をどう捉えたらよいか?ビジネスの落とし穴は無いのか?このようなことを真剣に考えてみる必要がある。 私の立ち位置は消費の立場だが、今後どうなるか?

また皆さんメーカーの立場(供給者)で考えてどうなるか?よくお考えいただきたい。企業は適正な利潤・品質・価格で商品を提供し、私たち消費者はライフスタイルに合わせて、購入する。 (投影の画面は)あるご家庭を国連が撮った写真ですが、小平市の30坪のお宅に12,000品目もの物がある。 NHKも10年後にどう変わったかを取り上げた。限りある資源の問題は解っているが、今は皆タブレット・スマホを持っている。これを動かすためには、たくさんの原発が必要になることも事実。エネルギーの消費は1位米国・中国・日本と続き4位はクラウドが来る。タブレット・スマホがエネルギーを消費している現実がある。これは便利だからといったことで、良いのか?といった問題だ。

1972年ストックホルムで国連人間環境会議が開かれた。そもそもは水俣病がきっかけで、カネミ油症事件もあったが。日本だけでなく世界中どこでも同じ問題があったわけで、 「現実を見てくれ」廃棄物をコントロールしないといけない。ちゃんとしないとブーメランで自分たちに戻ってくる。 このような問題意識。

1988年 グリーン購入、 エシカル購入、また、企業の行動がベトナム戦争や、南ア問題に加担しているのではないか?問題になった。このTシャツの綿花の栽培で児童労働は無かったか?消費が社会システムに影響をあたえている。これらの問題意識は、消費者運動の中で顕在化して、企業を取り巻くステークホルダーの概念、市民社会の概念ができてきた。フェアートレードもこの中で生まれた概念だ。

環境問題では、温暖化が顕在化した。気候変動・クライメートデパーチャー・(未経験の、予測不能)の気候になる。2020年・2030年は?2040年には日本の四季がなくなる予測もある。しかし我々は、企業・行政を含めて、きちんと対応をどこもやっていないのが現状だ。

ロールスロイスはエンジンを売る企業から、メンテナンスを含め扱う企業になった。 イノベーションが必要、考え方を変えなければならない。 グリーン購入とライフサイクルの関係、企画から原料調達、製造、パッケージと配送。 そして消費から廃棄物管理。環境にやさしい消費とは何か?を考えねばならない。

省エネ推進で、エコポイントが導入されたがエコリバウンドという落とし穴があった。 地デジ化の中で、テレビが買い替えられたが消費者は大型テレビを買った。省エネの 効果を目指したエコポイントは多消費製品ほどお得といった側面もあり、これが環境リバウンドにつながった。ハイブリッドカーも、走行燃費では効果はあるが、部品点数は増え、製造・メンテナンス・廃棄といったトータルの側面ではむしろ多くのエネルギーを消費することになる。

責任ある消費、持続可能な消費と生産の開発目標(SDGs)では17分野の項目が上がっている。12番目には、責任ある消費、持続可能な消費と生産の形を確保するとある。倫理が必要となってきている。倫理観を醸成するには教育が重要で、特に企業内での社員教育は大切となってきている。

世の中では、SNSが普及し企業は大きなリスクに囲まれてきている。スノーデン氏は「Nothing is Secret」と言っている。ネットの告発、廃棄カツの問題、VWの排ガス規制逃れ、パナマ文書問題と次々に出てくる。三菱の燃費偽装。スズキ・・ロンドン五輪以上を目指すべき、東京オリンピックでは2億のコンサルタント料の問題など、 いま企業にとってはCSR経営が重要だ。

そのCSRに関する国際規格、ISO26000社会的責任のガイダンスがある。ISO26001(社会的責任) 規格と要求事項・・ 今持続可能な調達、人権、透明性、が大きな流れになり、エシカル(倫理的)な企業行動がますます重要性を増している。

2人目の講師
CSRアジア 日本代表 赤羽 真紀子氏
テーマ「アジアにおけるCSR活動について」


CSRアジアは2004年香港で誕生した。アジア太平洋地域で現在10拠点がある。2010年にCSRアジア東京事務所が開設され今年で6年目になった。企業が抱える問題に対し、欧米流ではなくアジアはアジアの解決方法を発信することでスタートした組織。日本のCSR活動が環境対応から広がってきたのに対し、アジアのCSR活動は少し違う。水と衛生、医療アクセス、ジェンダー、初等教育などこれら開発課題の対応がその根っ子になっている。これらの開発課題が生まれたのは、そもそも企業の経済活動にあったのでは?といった考え方だ。

活動としては、アジアのCSR活動の動向調査(定点観測)を公表している。これは88賢人に対する電話またヒアリングを通じて集約され、CSR活動に影響をあたえるのは誰か、また問題意識の重要度をランク付けして公表している。

2015年の問題意識では「気候変動」がトップに、またCSR推進に影響をあたえるのは「NGO・市民団体」がトップになっている。 NASAの予測では、今年は、温暖化のピークだった2010年以上との予測をしている。 雨季と乾季がはっきりしない、激しい風・雨・洪水などの自然災害が懸念されている。温暖化は太平洋の諸島の国家に取っては大変深刻で海に沈むといった問題になる。

問題意識の第2位はサプライチェーン人権。(実は2013・2014年は一位だった。) このきっかけは中国のホンダの工場で工員が自殺した問題。SNSで拡散し工員の自殺が連鎖的に起きたのがきっかけで、労働者の人権、強制労働や児童労働、ひも付き労働また外国人の労働などが注目されたことによるものと思う。上司からは怒鳴られる、寮ではプライベートが確保されない、人間性を無視されたこのような環境の中で自殺に追いやられていたことが、問題意識の上で1位になってきた理由だろう。

第4位のコーポレートガバナンス、情報開示、反汚職について、アジアでの意味合いは 日本の感覚とは少し違う。アジアではまず汚職、交通違反にしても、許認可にしても 「なぜいけないの?」といった感覚があり、公務員の問題意識が薄い。といった状況 がある。

第6位のコミュニティ投資とSDGsについても、日本の認識とは違うようだ。 企業は本来の雇用の創出確保などの社会貢献とは別に、企業の持つ資源を基に、開発課題を解決してほしいと期待される存在となっている。日本でいう社会貢献とは少し違いその意味でコミュニティ投資と訳している。

CSRに影響をあたえるのは誰か?の方は、2015年はNGO・市民団体が1位だった。 以前、2010年までは政府・政治家が1位で、法規制などにより企業のCSR活動を促進し、開発課題の解決へつなげるといった意味で、アジアの特徴ともいえるが、政府・政治家がトップだった。近年NGOの活動も活発になり信頼されてきたため、1位になったと考えられる。

国によりCSRを進め方が少し違う(アジアにおけるCSRのドライバー)では「情報開示」を動機づけにしているのは、香港・シンガポールなど。 「法規制」がドライバーになっているのはインド・インドネシアなど、インドでは会社法で利益の2%をCSR活動に拠出する改正が行われた。そのほか「開発課題解決」、「中国に追いつけ」型はベトナムなど。

事例紹介になるが、4か国80社の調査結果では、コミュニティ投資で最も多いのは教育投資だった。教育といっても多岐にわたり、小学校を作る、奨学金を提供するものから、職業訓練などがある。また、ホテルの従業員確保にもつながることから中等教育の支援もある。 また田舎に工場を出すといった例もある。スリランカのMAS社は縫製の工場だが都市部に工場を出すと従業員は都市部に出稼ぎに来るわけで、都市で性被害などの事故の発生も多い、若い女性の従業員なので田舎に工場を出し親元の自宅から通勤できるようにすることを考えた。BATA社もタイの田舎へ工場進出したが、雇用の創出と地方経済の活性化に貢献している。

このほか、外国人労働者の搾取について、派遣元の国で多くは派遣会社に借金しているケースがある。ヒューレットパッカード社は、この借金を肩代わり・補てんすることをしている。イケア社なども、規律を作り対応している。

女性のエンパワーメント、プロクター&ギャンブル社の森林破壊での対応、煙害スモッグでの取り組みなどCSRの推進で各国の活動事例を調査している。エシカルコンシューマによるボイコットも注目されてきている。また、動物虐待の視点で「ふかひれ」は、運搬しないキャセイ航空の対応などなど、17項目にわたるSDGsの目標など倫理対応が重視されてきている。

続いて3人目の講師
エコテック・ジャパン且謦役会長 近藤繁樹氏
テーマ「EU市場のCSR・コンプライアンス」現状と「J∞QUALITY」


同氏は、EU市場のCSR・コンプライアンスの動向を紹介するとともに、日本ファッション産業協議会が主体となる日本発安全・安心コンプライアンス認証を基準にしている「J∞QUALITY」認証事業について説明した。

サプライチェーンにおける安全・安心コンプライアンスの遵守
ヨーロッパでは、サプライチェーンにおける安全・安心コンプライアンス遵守を行っており、カルフール、マークス&スペンサーなど著名な小売店は取引行動規範・コードを持っている。各コードも年々、要求事項の追加が細かく厳しい内容になって来ているという。

世界の小売店の売り場で、陳列されている商品は、
@ “安全で安心な製品”ですか?
A “環境に配慮”していますか?
B “児童労働”“労働搾取”など労働環境は問題ないですか?
C 製造している工場の従事者に対して“安全衛生と健康”に配慮していますか?

この4点が最低条件としての共通項目になっている。各項目について説明を加えた(詳細略)。このうち安全で安心な製品については、「繊維製品の安全に関して、ヨーロッパでは1994年から安全法規制を始めており、今はREACH(化学物質)規制と高懸念物質(SVHC)を規制。その種類が増えてきている」。また、日本政府は、アゾ系染料の法規制が今年4月に施行されたものの、繊維製品の安全性についての法規制は一部で、六価クロムについてまだ使えるようになっている。アゾ系染料について、ヨーロッパは23年前から使用禁止されおり、商社の不使用宣言について信用されていない。
 近藤氏は以下、米国と中国の規制内容を説明した(詳細略)。
環境については、環境保護団体NGO“グリーンピース”による“Detox Water”キャンペーンによって、世界的スポーツメーカーや大手衣料品メーカーと取引実績のある中国の2つの繊維加工工場からの排水から有害化学物質が検出されたことを説明。同キャンペーンに基づいて「多くのブランドが、2020年までに全ての有害物質の除去を約束した」という。

最近の“追加要求事項”
 最近、追加された要求事項では
・“安全な建築・建物”ですか?
・“産休に配慮”していますか?
・“先住民”“生活圏”などの保護問題はないですか?
・家内作業者に対して“年齢”と“安全衛生と健康”に配慮していますか?
などがある。バングラデシュでは、安全な建築・建物への注意度が高く建築許可に関する問題点があり、安全なのかどうか?などのように、細かい部分を説明した。
ヨーロッパでは最近、デミング博士の言われた「知らないことは測れない、測れないことは“管理”できない」という言葉が使われるようになっている。品質管理の場合でも、当該レベルの限度見本という尺度があるから測れるのであって、尺度のない個々人の想像に対して尺度を測ろうということが最近多すぎる。判っていないものを尺度とされるのが最も困る。「もう一度原点に戻って、科学技術についてちゃんと話をする。そのようにも言われている」。

サプライチェーン
原料の源流まで遡って、どこの誰が採取したのか?など、フェアートレードを含めてヨーロッパでは、染色工場などでどのような染料を使っているのかをきめ細かいレポーティングシステムでサプライチェーンの透明性と信頼を得ようと必死になっている。それがないと、売る側は透明性と信頼が明確にできない。そのため、企業のリスクの最小化を図りたいということになる。日本の百貨店にこうした話を持っていくと、胡散臭いとみられる。商品がどういう材料で作られたのかを斟酌しないとも近藤氏は指摘している。

事前対応策
ヨーロッパの小売業界でどうしてもやらないといけないことは、トレーサビリティー(追跡可能性)とサプライチェーンの透明性、信頼性を図ること。とくに透明性と信頼性を勝ち取るためにはトレーサビリティーを確実に行うことであり、生産バリューチェーンの明確化や把握、化学物質と混合物の検査・証明したものを作ることなどが小売業で取り組まれている。信頼性に関しては、PDCAで改善を行っているパートナーを見出そうとしてきている。改善する方法として一緒になって、一つずつ解き明かしながら進めていくとともに、サプライヤーとの信頼関係を築くことが重要とした。

日本の「J∞QUALITY認証事業」 現状とこれから
ヨーロッパでは最近、サプライチェーンの透明性・信頼性をうたっている中で日本は、 J∞QUALITY認証事業を始めている。織・編、染色・整理、縫製というサプライチェーンの透明性を明確にし、顔が見えるように登録すること。最終縫製が日本なら、メード・イン・ジャパンの表示はできるが、J∞QUALITYはすべてが日本製。各段階の企業が企業認証を得るためには、安全・安心コンプライアンス認証の取得が必要。
ヨーロッパでは、その動きに機敏に反応している。全ての顔が判っている商品を世界に展開するということであるためで、「日本がそこまでやるのか」ということ。
4月末段階で織・編159社、染色・整理128社、縫製188社、企画・販売51社の計526社が企業認証を取得されている。企業認証の92%は自主申請。取引先からの推奨は8%となった。これに寝具と靴下の認証が始まっているので、企業認証の数はさらに増加するものとみられている。申請企業の増加については、「海外に市場を求めるためには、必要な措置」、「コンプライアンス認証を日本でも取得するにはこの取り組みが必須」との意向や認識が深まってきているのではというのが大方の見方だ。小売業者が、公表されている認証企業の事業や商品内容等に非常に注目されている。商品認証数は、506品番、40万着に及ぶ。
 最後に、日本も、J∞QUALITY認証制度のように、世界にきちっと打ち出せるよう“日本発の行動規範”を発信できるようなチャンスが来ているのではないか。「中原先生や赤羽先生など、精通する仲間がおりますのでいいチャンスだと思う」と強調した。

最後の講師
アイトワ主宰 森 孝之氏
テーマ「エシカルな世界を 日本の時代 〜時代が変わる、日本のお家芸で〜」


森 孝之氏は1962年伊藤忠商事鞄社。71年に伊藤忠ファションシステム鰍設立・出向を経て、79年に潟潤[ルド取締役社長室長。86年12月にワールド会社を辞して、翌年5月にはアイトワを設立。92年に大垣女子短期大学デザイン美術科教授。2000年に同短期大学学長就任。03年同名誉教授。その間、「ビブギオールカラー ポスト消費社会の旗手たち」、「人と地球に優しい企業」、アパレル企業の中枢に席を得た体験談をまとめた「ブランドを創る」、「次の生き方 エコから始まる仕事と暮らし」、「京都嵐山エコトピアだより 自然循環型生活のすすめ」などの著書を発刊している。本日は、京都に自前の農場を開墾し、生活文化を通したエシカルな生活とビジネスの話を聞いた。

基本はエシカル
森氏は伊藤忠商事、伊藤忠ファッションシステムやワールド、立て直しを依頼されて学長になった大垣女子短期大学を含めた「59年間同じことを行ってきた」。それは、結果としてみるエシカルを根本に取り組んできたということであり、「伊藤忠とワールドの勤務中は増収増益で、短大も定員オーバーを続けることができた」要因ともなった。

必然の未来とフューチャープル(future pull)方式
今79歳で、戦前からの立ち直りなどを見てくると「今、日本が立ち直る最後の時だと思っており、きっと変われると思う」。まず、時代が変わっている。日本のお家芸にしないといけないことがあると思っている。世界にはジャパニズムがあるが、これからは、第二のジャパニズムになるのではないか。第一のジャパニズムは、近代を予見させた。第二のジャパニズムは、日本は次代を生み出し、ポスト工業社会を育むべきである。それができなければ日本は駄目になる。しかし私は、きっとやれると思っている。その根本は「エシカル」。日本はそれをするのに、最も恵まれた国だと思う。まずは縄文人の血が継承し、仏教国だが他の国とは異なり山川草木悉皆成仏の思想を創造し、それに帰依してきた。また、中身の優れた江戸時代の文化があった。270年間、人口3000万人で静止し厳しい経済下でも中身が充実し、静止社会でも繁栄した時代であり、そうした国は他にはなかった。紺屋の白袴はまさにCSであり、暖簾分け分けはCSR。企業の社会的責任を測れる人に、精神社会の反映した人に世代を譲ってきた。それから、“足るを知る心”は当たり前だった。それは静止社会で最も大事にしないといけない考えであり、それと現在の民度と民力は生かせると思っている。ただ、問題がある。それは選択で、願望の未来を追うのか、必然の未来を認めるのか。もう一つは、やり方。未来に確かな目標を定め、着実に立ち向かうフューチャープル方式と、目先のことを考えモグラのように進むのかの何れかを選ぶかで、私は、「必然の未来を認めて、フューチャープル方式で行かないと駄目だと思う」。

必然の未来への見定め
次に、1994年の朝日新聞のコラム掲載について説明し、その後フランスで今年2月に発表した食料廃棄禁止法について、「最高の安全保障であり、そのように、我々も進化しないといけない」と主張。その進化については、「小進化と大進化の2つある。小進化は、生きる強みを強化する、“得手”の拡張。大進化は、生きる仕組み自体を変えることであり、大進化でないといけないと思う」と指摘した。
 1974年に繊研新聞に掲載した“第四時代のマーケティング”を記述したことの背景や経緯について説明したが、その内容は、
・消費の喜びではなく、“創造の喜び”
・フロー型の生活ではなく“ストック型”
・使い捨てではなく“リサイクル”
・不可逆ではなく“サステナブル”
の持続性のある生活をしないといけない、ということであり、そこでは量より質が大事で「必然の未来を定めてフューチャープルしないといけない」と重ねて強調してきたという。  その後、伊藤忠商事、伊藤忠ファッションシステム、ワールド、大垣女子短期大学における取り組み内容や辞職した経緯などについて説明(以下略)。「根底に流れていたのは、必然の未来への見定めと訴求であった」。 

古人の知恵
古人の知恵:文化の時代、創造の喜びに浸る、ストック型とリサイクルで、それらを行ったのが江戸時代。しかし、その後は違う方向へ行ってしまった。ファッションビジネスも、人々の需要に合わせて、あらゆる人が楽しめるようにしてきた。しかし、工業社会の本質を知り驚いた。それは、パリ開催の第2回万博のスローガン“人間による人間の搾取に替え、機械による自然の活用”だった。一見素晴らしいものだが、機械による自然の活用なので、皆がそれで行けると思ったわけだが、それが環境破壊に結び付いてしまった。工業化の進展及び近代文明は駄目ということで私は“第四時代への備え”として生活を改めた。当時(1977年、39年前)、京都での生活(農園中心)は、「古人の知恵と近代科学の成果を組み合わせれば、ある程度の生活はできるということを示したかった」。伊藤忠ファションシステムを経てワールドに入社した、そういう時代だった(詳細略)。1986年、バブルの兆候が出てきたころ、理由があってワールドを退社した。その辺の事情をまとめた、「ポスト消費社会の旗手たち」を出版した。

人と地球に優しく
森氏は、スポーツウエア、化粧品や、返品に対して支払って保証するマークス&スペンサー社、パタゴニア社などに係る内容(略)や、出版物「企業はこうならないといけない」(1990年)の内容を説明した。カスタマーズサティスファクション(CS)を、「日本で最初に文字にした本になっているはず」。人と地球に優しくなろうとすれば、自分たちにも厳しくするもので、その厳しさが従業員の誇りになる。経営者の自粛、社会にあっては、存在意義にならないといけない。そういう企業にならないと栄えられない、と主張したという。

自己の実現
21年前、このままのマーケティングをしていたら日本は駄目になる。深層心理を求めたものでないと主張。「自分のカラーを出したい。自分をよくしたい。自分のカラーをよくしたい。それが勝負の時代になる」。要は刹那的、衝動的な人を追うのではなく、「主役をとらえ小進化ではなく、大進化しないといけない」。それが、自己の実現であり、そこを求めていく。
これからは、自分たちの民度や民力をどれだけ上げていくかの時代だと思う。人間たる所以を求めないといけない。それが完成した時の、考える洞察力を生かす。根気のいる作業にも手を付ける。刻々と想像能力を振り絞る。成就するまで努力する。それが人間たる所以だと思う。300種類かの霊長類がいるが、それができるのは人間のみ。それが人間の前頭葉の仕事でもある。騙しのプロは、前頭葉を使って消費者をだます。消費者はそれに引っかかる。人間脳で騙し、動物脳で引っかかる。そういうことをしては「駄目である」ということを出版物等で訴えてきた。
 工業社会は、欲望を解放することによって自己完結能力をなくしてきた。それを無くすほど儲かっていく。伊藤忠の課長時代に、それをやれば儲かるが、“それをやってはいけない、無茶苦茶になる”ということで反省した。儲けを追い求めた企画は駄目。我々は欲望等を追い求めてきたが、それで金儲けをしたら大変な目に合う。「やはり人間の解放を求めないといけない。そうでないとじり貧になる」。

環境とパタゴニア
パタゴニア社は100年後をこう考えている。環境に対しては、こういう取り組みをしている。来年から、綿製品をオーガニックコットンに全て変える。それが受け入れなければパタゴニア社は綿製品から撤収する。こういう決意しながら進んでいる。そもそも地球が無くなればビジネスも無くなるとの考え。1985年から売り上げの1%を(それまでは利益の10%だった)を環境草の根運動に寄付するといった。地球税であり、要はより良い地球環境を次世代に引き継ぐために企業を道具として位置づける、ということ。日本は売り上げの1%か、利益の10%のどちらか多い方を寄付する方向にある。そういうことで私は企業哲学をまとめた。同志社大学の大学院でそれを教えたことがある。

小さな巨人でいい
 大垣女子短期大学時代:大学の総合化に役立った。それこそエシカル。小さな巨人を打ち出せたことが嬉しかった。例えば短大の歯科衛生課では4大の歯科衛生課には勝てない。総合病院には採用されないだろうが、町の歯科医院には採用されていく。そういう学校にしようと取り組んできた。また、“心の大人とは”ということなどについても話した。要は、“多彩な全人を目指そう。小さな巨人でいい”。当時日本は、経済的豊かさでは一番の時があった。その時でも、環境的資産を入れるとニュージーランドに負けていた。それは駄目なので私は、むしろ環境的資産で幸せになろうと思った。それがこれからの時代。そのモデルは江戸時代にあった。そこで江戸時代での循環型暮らしを、近代的にして取り組んだらと言ってくれる人もいた。
当家では40年前からそうしたことをしてきており、そのような循環型社会をエシカルに構築しないといけない。誇りも持てるし、幸せにもなれる。健康にもなれると思っている。
※1000坪を超える「アイトワ」には住いと菜園、温室や森、カフェがあり夫人の人形工房がある。虫や鳥、動物などが有機的につながって循環型楽園を作っている。

自然循環型生活
最後に、そのように個人でもできる「自然循環型生活」農園にはアイトワという喫茶店もあるので、人がたくさん来る。皆が、そのような生活したいという。トイレは水洗で、タンクにためて自然発酵し肥料として活用している。企業は、A社の廃棄物をB社が原料にし、Bの廃棄物をC社が原料にするなどのサイクルを業界全体で作ること。要は自性資源だけで賄える国にしないといけない。「日本は資源小国なので、そのうち出来るでしょう。それを私は、インダストリアル エコロジーと言っている。そうしたモデルを日本もいずれ作らざるを得ない。産業界が頑張ってエシカルになれば、日本の時代ができると信じている」と結んで講演を終えました。

講演会本会を終了後、会場を移して懇親会が開催されました。

懇親会のはじめに、経済産業省 製造産業局 繊維課課長 寺村英信氏のご挨拶を賜り、当会会長岡本の乾杯発声の後、多くの皆様により活発な意見交換・懇談がなされました。

閉会時には、潟tクイ代表取締役社長土屋哲朗氏からご挨拶を頂き、一本締めの後、散会と致しました。

 

 

 
岡本義行会長
岡本義行会長
(法政大学大学院教授)
中原秀樹氏
中原秀樹氏
(国際グリーン購入ネットワーク会長)

赤羽真紀子氏
赤羽真紀子氏
(CSRアジア 日本代表)

近藤繁樹事務局長
近藤繁樹事務局長
(エコテック・ジャパン社長)
森孝之氏
森孝之氏
(アイトワ主宰)

寺村英信氏
寺村英信氏
(経済産業省 製造産業局 繊維課課長)

会場風景2

土屋哲朗氏
土屋哲朗氏
(フクイ 代表取締役社長)

会場風景3

 
 
第13回CSR&コンプライアンス国際フォーラム2015が開催されました。
会場風景1

◆ 開催日時 平成27年 5月21日(木)
◆ 会場    江戸東京博物館 会議室

   

CSR&コンプライアンス研究フォーラムと
日本アパレル工業技術研究会共催による
「第13回CSR&コンプライアンス国際フォーラム2015」が
5月21日に江戸東京博物館で開催されました。

冒頭、近藤事務局長よりご挨拶がありました。
この国際フォーラムの開催は13回を迎えました。今回、講師の皆様には、「サプライチェーンの透明性」を色々な方面から取上げていただくことにしています。

2月から「J∞Quality」が動き出しました。
ここでは、繊維製品の安心安全コンプライアンスを取上げています。認証を受けた企業が織編み、染色整理、縫製、企画販売の4つの工程を担当します。これにより、欧米でもなかなか進んでいない「サプライチェーンの透明性」が日本で進むことが期待されています。

今回は調達、CSR,マネジメント、個別企業の事例と多岐にわたって4名の先生にお話しをいただきます。

引き続き、 岡本会長から次のようなお話がありました。

昨日、イルカのニュースがありました。日本の置かれている状況が反映された残念なニュースです。
グローバルな人材育成を推進する中で、学校でもこれに取組んでいます。中国やアジア諸国、欧米からの学生を相手にしているが、日本を知らない、知識レベルもまちまちな学生を相手に、日本の中小企業をテーマにするとき、日本の実情を理解していないので、授業を進めるのが大変難しい。国際的な取り決めの中で進める活動も同じようなことがいえる。イルカのケースも日本の実情を理解しない多くの外国勢に押された形でこのような結果になっています。組織の問題もあるが、その前に人的なネットワークの問題重要性があるのではないでしょうか。

この後、本講演に入り、国際グリーン購入ネットワーク会長(東京都市大学大学院環境情報学科教授 UNEP/SPPIアドバイザー)中原秀樹氏より「サステナブル調達からエシカル調達へ」と題して、次様に講演をいただきました。

「持続不可能な消費を続けていると地球はいくつあっても足らない」といった考えで、20年前にグリーン購入ネットワークを立ち上げました。その活動をアジアに広め、韓国、中国、ベトナム、フィリピン等にネットワークを立ち上げ、それらが国際グリーン購入ネットワークという組織になっています。

企業が環境報告書を出すようになりましたが、時代とともにその名称は変化し現在、環境報告はCSR報告書となっているのが一般的です。昨日、消費者庁でエシカル調達についての会合が立ち上がりました。きっかけは、東京オリンピックです。経営の三方良しという歴史がある日本ですので、ロンドンのサステナブルオリンピックに続いて、東京オリンピックのレガシーは「エシカル」にしようとなりました。

エシカルの概念ですが歴史は古く、産業革命後(150年前)のガリバー旅行記に見られます。ガリバー旅行記の2話は天空の国ラピュタ、ここは科学者が支配していて人間味がない。第3話は人間の顔をした馬の国、その中でアジアの東の端にジパングという国が出てきます。人間味あがって素晴らしい国だと・・・。

話は戻りますが「持続可能な消費と生産」、サステナブル調達が注目されたのは リオ+20でのブルントラント宣言で、「持続可能な消費と生産」が採択され、「サステナブル公共調達」が優先プログラムとされました。この背景は1988年英国ではグリーンコンシューマガイド(地球に負荷を与えない商品の買い方)、また米国では Shopping for a Better World (より良い世界のための買物)といった書籍に見られます。

これまでの企業活動は、広告などで過剰な需要をあおり、安価な製品を供給して資源の枯渇や環境破壊をもたらしてきました。経済システムに環境のコストを組み込んで開示することが重要だと思います。空気で言えばPM2.5が問題になっているが、これにどれだけコストがかかるか?です。水にいくら払うのか? 広告に踊らされて湯水のようにエネルギーを消費しているのでは? 企業には証明責任のある広告をしてくださいよ・・・ということです。

温暖化の進行ですが、炭酸ガスは約400ppmを超えました。気温では2度の上昇に相当します。実はこのレベルはこれまでには経験したことのない気候変動に入り込んでいます。気象予測も過去の気象観測によって行われるのですから、これからは予報ができないことになります。どの様なことが起こるか予測できない状況になってきたということです。・・・超巨大台風とか。突風、ゲリラ集中豪雨、いたるところで異常気象が出だしています。地球環境はそこまで来ているのです。企業のCSR報告を見ているとがっかりします。ほとんどは、これらの変化に対する解答は無く、研究者としてはがっかりさせられます。

持続可能な消費と生産の枠組みを加速させる10年の枠組みの推進・マラケシュ・プロセスは2003年に採択された国際協力の取組です。グリーン購入法、環境配慮契約法などが制定されており、難しいのは消費者による持続可能なライフスタイルを促進することだと思います。例えば携帯電話に対してスマートフォンは約10倍の電力を使うとされていますが、それは表に見えるもので、15-20Wの消費電力のスマートフォンを支えるためのサーバーの電力は1台あたり大型冷蔵庫の電力消費に匹敵するといった事実もあります(年間470KW)。スマートフォンが大型冷蔵庫よりも大きなエネルギーを使っているわけです。

マラケシュ・タスクフォースでは7つのタスクフォースが作られ、アジアのためのスイッチアジアの取組も進められています。しかしこれらの活動は、日本ではなくヨーロッパが主導で進めていて、その意味で日本はCSRで後れを取っています。

2011年CSR経営に関してISO26000が発効されました。国際的なCSR関連イニシャティブでは、CSR経営(ISO26000、OECD多国籍企業ガイダンス。国連グローバルコンパクト)、情報開示(GRI,IIRC,SASB)、サプライヤー管理(製造過程でのCSR課題、紛争鉱物)、人権(国連ビジネスと人権に関する指導)などがあり、CSR調達(持続可能な調達)ガイドラインではサプライヤーCOCに加えて、原料調達まで含めた人権環境になどサプライチェーン全体の管理を求められることになります。情報開示の問題も急速に普及したSNSの前には隠しおおせない時代に入っています。各国の首脳の会話までチェックされている時代です。不公正なことをするとSNSで刺される。そしてその情報は消せない。また技術の進歩は鉱物のDNAも解析できるようになっています。鉱物も解析すればどこから調達したものかが分かる訳です。スノーデン事件は透明性の問題を提起しました。シューマッハの指摘では「倫理的・道徳的な選択・消費は何を意味するか」、きれいな環境にいくら払うかで、環境破壊と資源の枯渇を未来の世代に負の遺産としては残してはいけません。

現在の世代は未来の生存可能性に責任があります。このような指摘がなされているISO20400は2017年春に国際規格として発行する予定ですが、行動規範(COC)や調達基準では済みません・・調達行為のガイドラインになります。環境配慮のグリーン調達は、サステナブル(持続可能)調達へ進み、現在は一気にエシカル(倫理的)調達を求められる時代に突入しています。企業はこれに対応して行かねばなりません。もう隠すことはできない時代です。企業経営にとっては大きな波が津波のように襲って来ます。皆様の企業もいち早くこの対応を進めることが急務だと思います。

続いて、CSRアジア 日本代表 赤羽 真紀子氏より「アジアにおけるCSR活動について」として次のように講演をいただきました。

自己紹介になりますが、米国留学から帰国、環境担当を募集していたスターバックスジャパンに入社、セールスフォースドットコム社で、日本でのCSR組織立上げに参画、アジアのCSR普及目的で香港のCSRアジアに参画して現在に至ります。CSRアジアは10年目、現在10か国に拠点があり40名のCSR専門家が活動しています。一口でアジアというが、南アジアから東南アジア、極東アジアと広い地域で、気候も食料も大きな違いがある地域であり、貧富の格差が大きく、チャンスとリスクが大きいのも特徴です。

貧富の格差の問題は、社会不安の問題も起こしがちで、中国などは常に注意を払っていることが必要です。「今後の問題になるのは?」の問いでCSRアジアでは10年間にわたり調査をしています。トップテンでは気候変動や水問題、生物多様性、またサプライチェーンの人権問題等があげられています。またCSRに影響を与えるのはだれかの問いではNGOや市民団体、投資家や金融機関、政府、政治家、若者世代といったところがトップテンに入っています。この中で、アジアの問題意識は、2013年は「サプライチェーンと人権」が1位でした。 2014年は「気候変動」が一位になりました。2位は「水問題」。他にも「貧富格差、貧困と社会不安」、また「生物多様性」といった問題もトップ10にほぼ入っています。年によっての順位は変わるがトップテンは常連です。

「気候変動」の問題では季節の変わり目が変化や異常気象が近年実感できるところまで来ています。
また、「水問題」ですが、水の汚染といった問題もありますが、水道水が飲める日本(二か国しかない)といった事情もあるのか?「水問題」について日本は鈍感かも、しれません。
また児童労働も大きな問題点、脅威となっています。
生物多様性、それから情報開示・反汚職も常連組です。

天然資源の枯渇といった問題では、海洋資源の問題もあります。中国などの生活レベル向上もあり特に「ふかひれ」など海洋生物の問題が注目されているわけです。キャセイ航空ではカーゴの拒否、シャングリラホテルは「ふかひれ」のメニューを取りやめているなどの動きがあります。

調査の中で、「CSRで、今後10年位で影響を与えるのは?」との問いには、当初は政府・政治家がトップでしたが最近は特に2012年以降はNGOの存在も大きくなってきています。この10年間、アジアでは多国籍のNGOのアジア支店 また地元のNGOも増えています。

証券取引所(上海、香港、クアラルンプール・・・)が企業の情報開示を主導している。すでに、シンガポールでは情報開示を義務化しようかという議論がなされています。この土台にはサステナビリティが重要視され、この取り組みが企業の成長にとっても大きなポイントとだといった認識があります。

2年前のバングラデシュで、ラナプラザのビル崩壊の事故がありました。 ラナプラザ救済基金もできましたが救済資金もまだ十分集まらず、被害者の救済はまだ進んでいない現状もあります。ビル崩壊の原因は建築基準の問題とともに賄賂汚職の問題もからんでいます。ちなみに当初はオフイスビルとして建築され、その後、上階の増築、その後工場として使われ、常にミシンの振動があるといったビルの使い方をされ、しかも毎年の検査にも手心が加えられていたと考えられています 。 今回の大規模なビル崩壊の予兆とでもいえることとして、半年前、縫製工場の火事で多くの従業員が犠牲になるといったことも起こっています。消防設備は無く、点検履歴もありません。もちろん防災訓練などはされていません。事故現場の調査で、ウォルマートのタグがついた衣服が見つかりました。ウォルマートは工場に直接、仕事を出していないと発表しましたが、結局はサプライヤー1社が下請けとして使っていたとのことです。直接契約していないでは済まされない・・・問題です。またラナプラザではGAP,ザラ、ユニクロといった世界ブランドの衣服が縫われていた、といった問題も出てきました。

アパレル工場の労働者を支援しビックブランドを非難する動きもあります。お手元の資料は2014年の世界最悪企業賞に、GAPが選ばれたものです。CEOが名指しで非難されています。CEOの年収は5億、まだ補償を受けられない労働者と対比をして、消費者に訴えています。いくつかの資料をご覧いただきますが、バングラの靴工場での児童労働、タイのエビ加工場で働くミャンマー少女、カンボジアの漁船船員が子供といった写真も掲示されています。児童労働や、人身売買の疑いなどが、問題としてあげられ「倫理観の問題」が注目されています。ドリームインターナショナル社のおもちゃは「地獄からのおもちゃ」として風刺されています。

NGOからのアタックの例ではグリーンピースによる名指し非難を、P&Gが受けています。これは原料調達が持続可能でない方法で調達されたことです。使っているヤシ油の栽培が持続可能ではないというものです。P&Gはその後の対応が良く、すぐに取り上げたグリーンピースと対話をして改善目標と取り組みを始めました。2か月後にはアタックは終了しました。IPE(公衆環境衛生のNGO)が水資源については、アップル社の水汚染を取上げた例を見てください。2011年には最も低い評価でしたがアップル社が、改善して2015年には第1位の評価になっています。NGOもいろいろあり、厳しいアタックの非難キャンペーンをするところもあります。企業にとっては大きなリスクです。リスクとして放置するか解決策を講ずるかです。

CSRアジアは世界10か国の消費者1万人のアンケートを行っています。
「企業は完璧でなくてよい、取組について正直であればいい」85%、「価格と品質が同等なら環境や社会に配慮するブランドに変える」91%、「社会や環境に責任ある製品かどうかを考えて買っている」88%、などが注目されます。

さて企業は今後どのように取組むべきかのといった視点、今後企業はどう向き合えばいいのか?
サプライチェーンでは、トレーザビリティ(追跡可能性)が求められ、また透明性が重要です。人材育成では、サプライヤーの従業員にまで企業の行動規範(COC)を徹底する 人材育成が重要となってきています。
( 以上、前半4名の挨拶と講演/記者:H.A )



ここでいったん休憩後、TUV ラインランド ジャパン(株)・シニア オーディター・三枝邦弘氏から「ISOマネジメントシステム規格の大幅改正とCSR規格の今後」と題し、次様に講演いただきました。

(※同社の親会社は、テュフラインランドグループ(本社、ドイツ・ケルン)。蒸気ボイラー検査の第3者機関として1872年に設立。事業は産業サービス、運輸・交通、製品、教育・生活サービス、システム、情報通信技術・ビジネスソリューションに区分。全世界69か国・500拠点以上で、従業員約2万人。日本法人は、1983年に設立。7拠点、従業員数約400。)

三枝氏は、審査機関から見たISOマネジメントシステムの今後について、「今ISOでマネジメントシステムの改定が進んでおり、昨年から今年にかけて大きな動きがある」ことから、「その動向とCSRの規格、SA8000の規格」を中心に以下の様に講演されました。

ISOマネジメントシステム規格
ISOマネジメント規格(ISOMSS)が、「ISO9001 品質マネジメントシステム(QMS)」、「ISO14001 環境マネジメントシステム(ENS)」、「ISO39001 道路交通安全マネジメントシステム」や、開発中の「ISO45001 労働安全衛生マネジメントシステム(QHSMS)」など数多くある。それ以外にもCSR,サステナビリティの規格、ガイドラインである「ISO26000」「SA8000」や企業独自に開発している基準が多数存在していることを示しました。また三枝氏は、第1〜第3者監査など監査の種類や“監査のメリット、デメリット"、“マネジメント規格改正の背景"、“マネジメント規格改正"及び“SA8000マネジメントシステムの要求事項"、“マネジメントシステム監査への移行"などについて説明を加えました。
第3者機関については、「認証維持費などの費用負担を伴う。ただ、対外的に監査機関の中立性、公明性が担保できる。また、社会的な評価や顧客からの評価が得られ易いことが大きなメリットだと思います。第3者による監査のため、システム改善し易いことが上げられます」と強調しました。

マネジメントシステムの規格改正
“マネジメント規格改正"について三枝氏は、マネジメントシステムそのものが増えてしまっている現状もあって、2006年から規格そのものに整合性を取る必要性があるとして議論が行われた。その結果、規格そのものの章立てや構成で、規格の要求事項である第4章から第10章まで、個々にばらばらであった規格の章立てを統一することが結論として出てきた。テキストも共通化し、各規格によって使われる用語も微妙にニュアンスが異なっていたが「それもある程度、今後統一していく」方向にあるとしました。決めごととして今後、新たに開発される規格は、すべてその章立てを守る。共通する部分は変えてはいけないことを規格の根本としていく。改正の目的は、さらに新たなリスクベースアプローチを取り入れ、ステークホルダー(利害関係者)の期待を満たし、価値のある存在であり続けられることとした。規格のうち4〜5章は当該マネジメントシステム全体の方針で、方針を受けて組織が達成したい目標を管理していく流れになると話されました。(資料に基づいて6章以下の内容など説明。以下略)。

三枝氏は、SA8000マネジメントシステムやマネジメントシステムの監査などについて以下のように概要を説明しました。

SA8000マネジメントシステムの要求
SA8000マネジメントシステムの要求については1年前、CSR規格の代表格のSA8000(第3者による認定登録制度)が、2008年度版から2014年度版に改定され、マネジメントシステムの要求事項が強化された。第1章児童労働、2強制労働、3健康安全から9マネジメントシステムの章立ては変わらないが、大きく変わったのがマネジメントシステムの要求。会社が自主的にSA8000規格を遵守することを決定した方針書を作成することと、顧客やサプライヤー、下請負契約者などにも情報共有すること、継続的改善に向けてのパフォーマンス評価をマネジメントレビューで定期的に実施することなど、マネジメントシステム的な要素が強まる。また、労働側代表者と経営層によるSPT(ソーシャル・パフォーマンス・チーム)の設置が要求(内部監査機能の強化)された。

結論
マネジメントシステムの監査だが、これまで自社監査のパフォーマンス志向型(監査時の状況でOKなら「良し」とし、それ以降の活動は真剣に行わない)の監査から、企業が常に自主的自立的にマネジメントシステムを運営していくという組織に置き換わっていくのではないか、と考える。その他、事業が継続する上で必要な“方針展開(目標管理)"がより重要性を帯びてきます。パフォーマンスで、計画したことと達成できたことのギャップが少ない方がいいわけで、理想的なのは計画したことを皆達成できることであり、そこにどうやってもって行くかで、それがマネジメントシステムの目標になるかと思う。パフォーマンス改善のメリットとして、@会社の自立性をアピールできる(顧客の期待に応える)A組織内部の継続的な改善しやすくなる(組織の実行能力強化)B企業経営への改善強化(対費用効果の向上)――などが考えられる。

最適化への取り組みが重要に
三枝氏は最後に、「企業の業績が重要であることに変わりはなく、継続的により良い結果を得るために組織体制を維持すること。対費用効果も考えて最適化していくことへの取り組みが重要になっていく」と強調し講演を終えました。

4人目の講師として、株式会社EDWIN・生産管理部長・小泉澄雄氏から「「EDWINにおけるCSR生産活動」と題し、次様に講演いただきました。

( 株式会社エドウイン:日本で衣料品を製造する会社。ジーンズの約70%を国内生産(縫製・洗い加工)。日本国内に15(縫製12、洗い加工2、検品1)の自社工場がある。ほとんどの従業員が、同社グループの連結子会社の正社員。工場の社員は、伊藤忠グループの子会社の正規雇用の社員。)

小泉氏は、エドウインにおけるCSR生産活動の取り組みの事例について説明を始め、次のように講演されました。

CSRは企業の社会的説明責任であり、コンプライアンス(遵守)を説明することです。遵守すべき要求事項は@重要な法令A品質基準などのマーケットからの要求事項B地域社会からの要求事項C取引先からの要求事項Dエドウイン品質基準及び針など危険物混入防止規準等自主的な規準を遵守することです。
取引先からの要求事項に関しては、エドウインはライセンサーであるVF CORP COCからVF取引行動規範を受け取っており、独自の順守要求事項に対応している。
「CSRの取り組みに於いて遵守する要求事項は広範囲になる。それら全て遵守していることを説明できるように日々運営し、管理していくことが本来のCSRの意味であることを認識したい」と強調。

CSR生産活動
エドウインでは、基幹工場であるジーンズMCDで、2004年からCSRマネジメントシステムを導入し、自社による生産とサプライチェーンマネジメントを行っている。その運営だが、ジーンズMCDで取り組んでいるマネジメントシステムは、「CSM2000」というエコテック・ジャパンが運営しているシステムでアパレル分野に特化した総合的なマネジメントシステムである。遵守分野が品質、社会的責任、環境、安全・衛生、経営システムという5分野あり、各分野に対して法令やシステムとしての要求事項が課せられる。「CSM2000」の大きな特徴は、システムの理念としてこのシステムに取り組む企業のサプライチェーン上に存在する全ての企業が最低限の要求事項を遵守しないといけないことにある。その意味でジーンズの洗い加工を行っているジーンズMCDが「CSM2000」に取り組むことによって、エドウインの製品に関わる生地メーカー、付属資材メーカー、縫製工場及び、理想としてはエドウイン 本社までが法令や様々な要求事項を遵守しなければならないことになる。色々なマネジメントシステムがあるが、一般的には、自社単独で取り組むものがほとんどで、自社がマネジメントシステムを取り組むことによって、製品に関係する全てのサプライヤーまで巻き込むという「CSM2000」システムは優れたシステムだと思っている。

CSR生産活動に取り組むプロセス
企業内におけるCSRマネジメントシステムの運用方法について:大切なことは、まず企業としてCSRを実践するという明確な強い理念を持つこと。企業の社長やCEOなど、経営トップが宣言することが重要。「理念」とは、理想であり、企業としてどのような理想を持つことを明確にすることではないか。ジーンズMCDの企業理念の中には、“人と環境の未来に貢献する企業"を目指すと宣言されている。この理念に書かれている、「環境の未来に貢献」という部分が、例えばCSRマネジメントシステムの環境分野への取り組みの最初の取り組みの動機となっている。次の企業方針だが、「私たちは、人の健康と環境に対して安全性の高い新製品を開発設計していく」と書かれている。その部分が先ほどの企業理念を受けて会社としてするべきこと、つまり環境に対して安全性の高い商品開発をする、ということを会社の方針として社員に向けて伝えている。次のプロセスは、会社の規定や法令集を作成すること。そして、記録の文書化、遵守の結果を検証するマネジメントレビューへと続く。

化学物質に関する規定や法令、実際の運用について
薬品類を有害性、毒性、危険性の度合いからA、B、Cに分類して提起し、健康への影響も確認している。また、実際に使用している薬剤を規定で定めたランクで分類し、有害性、正常、安定性、可燃性、燃焼時に発生するガスなどについて調査した結果も一覧している。また、作業現場では、労働安全のためのCSRとしてこのリストに基づいた薬剤の取り扱い方法が規定されており、社員に見える形で表示されている。

廃水処理管理
廃水処理管理:工場の業務に該当する全ての環境法令を環境法令集として文書化した。環境六法から事業者の責務を抽出し、自分の会社に該当する法令を抜き出して文書化している。排水の数値については毎月1回、外部で計測を受け記録されている。直近の計測数値では、基準値を大きく下回っている。工場では河川に放水している。法令の基準値は、1g当たり120_c。秋田市は60_cという基準値があるが、それが3_cとなっており、水質の状態はいい。ほぼ汚染がない状態での廃水といえる。計測時には油や有機溶剤はゼロとなっている。ジーンズに限らず、製品の洗い加工によって発生する排水が自然環境に影響を及ぼし、あるいは有害物質の流出などが万が一にあってはならない。

トレサビリティ管理
“エシカル"という言葉が受け入れられてきている。ジーンズの分野でも製品に、生地の原料地や、縫製した工場の場所などをカードのような名簿にして取り付けた“産地ネーム"のあるジーンズもある。最近は、そうしたジーンズを含めたエシカルファッションとして取り上げてもらう機会が多くなってきている。トレサビリティの管理をしていることでお客にアピールでき、購買動機に少しでも役に立つのであれば嬉しいことだと思っている。エドウインの製品については、トレサビリティのカードが付いているのは他にはないが、全ての製品に取扱いのオーダーナンバーという生産ロットが解る記号が記載されている。全ての製品には、いつ、どこで、どのような原料を使い、どのように生産されたかなどを調べることが可能。(トレサビリティ管理の一例を図によって説明。略)。

CSR生産活動における重要なポイント
「CSM2000」サプライチェーンマネジメンについてだが、エドウインがメーカーとして行っていることは、縫製・洗い加工。原材料のアッセンブリー、組み立て工程といえる。エドウインのジーンズの原材料は、すべてサプライヤーさんから供給して頂き、調達しているもの。エドウインのCSR生産の大きな部分は、原材料やパーツを生産しているサプライヤーCSR活動の上に成り立っている。

サプライヤーとの関係
CSR生産活動とは、自分達だけでできることではなく、サプライヤーや関連する企業の理解と協力が欠かせない。サプライチェーンにおいてトレサビリティを公開できる企業とパートナー関係を作ることこそがCSR調達の前提だと思う。そのような企業が作るアライアンスから生まれてくる商品こそが、消費者の信頼と、言葉を代えれば安全性、安心という面において大きな評価を得ると思う。そのようなサプライヤーとの関係が一時的なものでなく、持続的に築かれ常に改善を行っていることができる関係であるということもCSR生産活動に重要なことである。

以上の講演の最後に、小泉氏は、2008年にシンガポールで開催されたJIAM展(国際アパレルマシンショー・JIAM2008 Singapore)での講演会での、同社小林道和専務(当時)の講演内容について、「CSR体制で必要なことは目利きと呼ばれるような人材を養成していく事である。加えて、生産を請け負うサプライヤーはコスト追求に対する方策を理解して行くことが肝要」とし、その結果「深い信頼関係を持つ持続的なパートナー関係が築かれ、企業経営はより安定し、発展していく」などの指摘があったことを強調し、講演を終えました。 ( 以上、後半2名の挨拶と講演について:記者:T.Y )



講演会本会を終了後、会場を移して懇親会が開催されました。当会副会長のYKK株式会社・執行役員・ファスニング事業本部・事業推進部長・山本徹氏のご挨拶と、当会・理事の株式会社フクイ・代表取締役社長・木川保明氏の乾杯の発声の後、多くの皆様により活発な意見交換・懇談がされました。

 

 

 
近藤繁樹事務局長
近藤繁樹事務局長
(エコテック・ジャパン社長)
岡本義行会長
岡本義行会長
(法政大学大学院教授)
中原秀樹氏
中原秀樹氏
(国際グリーン購入ネットワーク会長)

赤羽真紀子氏
赤羽真紀子氏
(CSRアジア 日本代表)

三枝邦弘氏
三枝邦弘氏
(TUV ラインランド ジャパン シニア オーディター)

小泉澄雄氏
小泉澄雄氏
(EDWIN 生産管理部長)

会場風景2

山本徹氏
山本徹氏
(YKK 執行役員)

木川保明氏
木川保明氏
(フクイ 社長)

 
 
第12回CSR&コンプライアンス国際フォーラム2014が開催されました。
会場風景1

◆ 開催日時 平成26年 5月22日(木)
◆ 会場    江戸東京博物館 会議室

   

CSR&コンプライアンス研究フォーラムと
日本アパレル工業技術研究会共催による
「第12回CSR&コンプライアンス国際フォーラム2014」が
5月22日に江戸東京博物館で開催されました。

今回のテーマは
「サステナブル(持続可能)な調達とは
 - サプライチェーンに於けるグリーン製品確保と世界調達の仕組み」。

近藤事務局長による挨拶に続き、CSR&コンプライアンス研究フォーラムの
岡本義行会長より挨拶がありました。
ドイツでは地方都市は人口・雇用が維持されている。夕張の例にみられる地方の崩壊と例が見られない。この点をテーマに地方都市を視察してきた。エネルギー産業で栄えたルール地方の都市だが、企業も自治体も産業振興・環境で自分たちの地方都市を売り出そうと積極的なプレゼンを聞かせてもらった。このような新しいことに取組むことがドイツの活性化の地方都市の維持発展に寄与していると感じた。CSRも一つの道具として、私たちも新たな産業の発展、また雇用などといった問題にも取り組み、持続性のある産業の新たな方向性という意味でも考えてゆきたい

基調講演としてドイツ3P社 代表 ウィリー・ボイト氏より
「トレーサビリティとサステナビリティ、副題としてエシカル(倫理)と環境保護のジレンマ」というテーマで、現状と今後についての取組を話されました。
トレーサビリティまたサステナビリティという言葉はよく使われるようになり皆さんに理解されるようになった。トレーサビリティの理解は進んだが実際はどうなのかは、皆さんは解らないのではないだろうか?
昨年のバングラの悲劇はグリーンピースのキャンペーンもあって資金の調達は進んでいるが・・被害者の家族は生活が困窮している例も多い。多くのブランドが家族への保証を約束したが、苦しんでいる家族があるのだ。
多くの企業にトレーサビリティについて質問すると概念とかマニュアルなどは良く見せていただく。実際はどうなのかは、なかなか調べられない、解らない状況といえます。サプライヤーの宣言書だけでよいのか?嘘はないというが、現状は、実際がどうかは把握できていない。
品質管理では、日本でも有名なエドワーズ・デミング博士の言葉に「自分で測定できないことは管理できない。自分が知らないことは測定できない」といった言葉があるがもう一度かみしめても良い言葉だ。
明日に向かって持続可能なアプローチをするには、トレース可能で透明性のある生産チェーンが必要だ。顧客に対して、なによりも自社のブランド・・・自社の利益にとって大切だ。
資料に示したが、繊維のバリューチェーンは複雑だが、よく生産工程をトレースし、重要工程がどこかを分析にしなければならない、透明性を高めなければならない。そして信頼を勝ち取る必要がある。サプライヤーとは長期的な確固たる関係を築き信頼関係を作り出すことが大切だ。
宣伝になるかもしれないが、わが社では1993年以来、生産チェーンを構成する部門、サプライヤーをすべてスキャンし、工程と材料を評価している。エコモニタリング・社会的なモニタリング・品質のモニタリング。すべての工程と材料を評価しています。年間約800件の工場監査モニタリングを行っている

続いて、サステナビリティ日本フォーラム代表理事・後藤俊彦氏より
「グローバルコンパクトとサステナブル・サプライチェーン」 のテーマで講演が行われました。
レジメの最初にありますが、人類が出現し約700万年、農業革命による人口の増加は約1万年前から、一方石油の消費は155年前から始まった。石油の枯渇が話題になったが、シェールガスの発見で21世紀は枯渇する心配はない状況だ。20世紀のように最後は燃やすといった使い方は変えなければならないだろう。資源枯渇・エネルギー問題とともに、気候変動の影響も顕在化している。世界の環境問題への取組は1972年にはストックホルム国連人間環境会議から始まる。
今日はグローバルコンパクトから環境、CSR経営とISO26000を中心にお話します。グローバルコンパクトは1999年、時の国連事務総長のコフィー・アナンさんがダボス会議でおこなった演説に始まる。 翌年国連で採択され、当初は9項目だったが2004年に腐敗防止の1項目が追加、10原則となっている。各企業に国際的に認められた規範の支持とその実践を呼びかけている。グローバルコンパクトでは「サプライチェーンの持続可能性」「サプライチェーンにおける望ましいCSR活動」「A Practical Guide to Supply Chain Traceability」といった文書を出している。
バングラでの事故を受け、バングラアグリーメントができ、支援金も集まってきている。いま、バリューチェーンで起きているのは、ネスレのケース、日立のケース等々人権や環境、労働などに関わる問題だ。NGOのグリーンピースなどが取り上げその改善是正を迫っている。グリーンピースは、元々は原爆実験反対で政府を対象にした活動から始まったが、今は企業に対してキャンペーンを張るようになっている。彼らはきちんと調査を行い、証拠をとらえて、企業に是正を求めてゆく。企業がいい加減に対応すると不買キャンペーンなどを行って問題解決をはかるといったやり方だ。
日立のケースでは、日立の子会社の取引先にマレーシアの会社があった、この会社が労働者を差別したことに対するものだった。当時のマレーシアでは違法ではなく、裁判でも勝訴した。しかし国際的なスタンダードでは差別労働でありこの是正を求めるものであった。
NGOの戦略は、サプライチェーンの中で、人権や労働などの問題を確認すると、最終的に調達しているブランドメーカーに対して是正を求めるものだ。欧米企業は問題のあるサプライヤーからの調達をやめてしまう。このような活動を通して差別労働や人権、環境の問題を改善してゆくわけだ。
自社グループでだけでなくバリューチェーン全体に対しての社会的責任が問われる時代になっている。日本企業には、調達先の問題があっても取引をやめることはできないといった感覚だが、改善是正などの行動をとらなければ、発注している自社に対しての不買キャンペーンなどを受けることになる。
企業の社会的な責任、CSRと類似する言葉としてサステナビリティ、CR、コーポレイトガバナンス等々があるが、企業が将来も継続的な発展をしてゆくためには、避けて通ることができない。自社・グループだけでなくバリューチェーンに対する配慮が要求され、ステークホルダー、特にNGO/NPOとのコミュニュケーションは特に重要になっている。ユニクロの有害染料の対応はNGOと協力して取り組む適切な対応といえる。
(環境・CSR経営とISO26000)
1990年代には環境、企業経営の中でも環境報告書を作成するなどの対応となった。2000年代はグローバルコンパクトもありCSRマネジメントが重視される様になった。今後2015年以降はこれに統合報告といった流れが加わることになる。
企業の社会的責任・環境配慮を求められるわけだが、法的な拘束力はないものの、いわゆるソフトロー(国際的指導原則・ISO・倫理・など)としてソフトロー全般の遵守が求められるということだ。 ISO26000は2001年に発議され、政府・企業・労組・NGO・消費者団体・その他専門家の6つのセクターが検討を進めて規格を作った。説明責任・透明性・倫理的な行動・など7つの原則が示されている。バリューチェーンに含まれるすべての組織が関連する法規制の遵守また社会・環境に対する責任を負うという社会的責任の推進をするわけだ。
ここで加担という言葉がある。これは法的な意味での加担ではありません。不法行為を知っていたのに何も行動しないのは不法行為の加担とみなされるということだ。
2013年欧州議会がEU会計指令の改定案が採択された。これに呼応して日本の金融庁は2014年「責任ある機関投資家」の諸原則を発表した。投資する事業に対しても顧客・受益者と投資先企業の双方を視野に入れて中長期的な投資リターンの増大をはかる責任を意味する。たとえばこれまでは銀行から金を借りるには担保は重要だが何に使うか事業活動の中身はあまり問題ではなかった。これからは担保だけでなく事業の中身もちゃんと見ないといけないということになる。法令順守や差別労働などで透明性を欠くような事業活動が認められれば銀行の融資は受けられないといったことになってゆく。
経団連の企業行動憲章(2010年改訂版)では・・ISO26000(社会的責任に対する国際基準)に代表される持続可能な社会の発展に向け・・企業の社会的責任(CSR)を率先して果たす必要があるといった文言が憲章の序文に盛り込まれている。

続いて 、3人目の講演者として、
東京経済大学・非常勤講師・寺中 誠氏より
「紛争鉱物とグローバル経済」をテーマに講演が行われました。
寺中氏はまず、電機メーカーなどが紛争鉱物について対応している現状の説明を行った。寺中氏は、国際的な人権団体のNGOアムネスティ・インターナショナルの日本の事務局長を務めてきた。それ以前から理事等でも関わってきており、総計すると30年ほど前から人権問題を扱ってきている。同時に大学関連でグルーバル犯罪、国際人権法、国際刑事法なども扱ってきた。その中で調達、クライアントなどにも関与したと説明した。
( 人権保障の圧力)
 アムネスティ・インターナショナルは、人権に関するNGOとして世界最大。調査・記録し、人権を侵害している側に対して質問し、その成果を基に最終的に法制度を作っていく活動にもつなげていっている。
 国民国家の単位と、グローバル化するという運動が相互に引っ張り合っている状態で今の世界が存在しているが、そこに色々な圧力がかかる。治安、安全保障・セキュリティが重要なポイントとして出て来る。それに対して別な圧力がかかる。それが人権。人権とはいっても、人にやさしいというのではなく、むしろ戦う人権を指す。人権保障の圧力といえるものだ。
 コンプライアンスや条約もあるが、紛争鉱物とは何かという大本に立ち返って、何故それが統制されることになったのか−−。それにかかわる企業は非常に大きなインパクトを持っている。それと同じことが児童労働、綿花栽培等に関係してくる。天然資源は、昔から紛争を助長していると言われている。資源争奪の紛争でもある。資源と紛争との関係はもっと細かく、その紛争は継続する。買った側が確定しても継続するのであり、資金源を獲得するため、そういうメカニズムが存在する。そこに最近は再輸出経済が存在し、グローバルに展開する。それらによって、むしろ紛争が“継続”することのほうが目的になる。継続しないと、世界経済がうまく動かなくなるという問題に発展してしまう。そこがまずい問題であり、国連を含めて金融に関する取引きにどうやって対応するかに絞り込まれてくる。紛争鉱物は、鉱物資源をどうするかの問題ではなく、金融の問題となっていく。
( 資源の呪い)
寺中氏は、再輸出経済を媒介したグローバル経済の仕組みを説明。資源の呪いという言葉がある。天然資源があるとその分、その地域は貧しくなる。何故なら、その天然資源はその地域には入らない。むしろその資源をめぐって紛争が激化し、その被害を受けるのが現地の住民。従って、現地の環境は徹底的に破壊される。 
寺中氏は、ナイジェリアの内部の地域や、油のパイプラインの破壊によって油が流失し、豊かな森林が破壊されることなど、当地域の問題点及びそれらの経緯を説明した。寺中氏はまた、資源による紛争の継続の例として、研磨の段階で市場統制されているダイヤモンド取引による武器調達の例やコンゴ紛争と再輸出経済を支えた鉱物資源及び木材との関わり、地域武装勢力による資源紛争、現地住民による発掘と武装勢力による資源発掘の事業化など−−コンゴ、ルワンダ、ウガンダ等の関わりについての説明を加えた。紛争資源は木材、金、コルタン、スズ、ダイヤモンド。
( 1502条法)
米国で、天然資源(鉱物)の取扱いに関わる1502条法)が通過した。SEC(米国証券取引委員会)がドット=フランク法の実施機関となり、今年5月から正式な適用となった。日本の電機メーカーなどもSECに沿うような報告をする義務が発生した。米国で、コスト面でSEC規定に対して不当性を主張して提訴したが、SEC、NGO、国連側は企業側の主張が事実に欠けるとして棄却した。
 1502条法は、現地の利益のためである。それが再輸出の強化に使われ、軍事経済を維持させる−−ことを防がないといけないし、その活性化を抑える効果も高いと思う。
( まとめ)
天然資源は紛争の原因となるだけでなく、紛争時の直接的な調達資源になる。また、長期的な紛争経済を成立させてしまう。その紛争経済は、グローバルな投融資と関連しており、日本経済も関係している。
人権の問題は、企業にとってリスクだが、それは誰の何のリスクか。国連あるいはCSRで謳っているリスクは、企業のリスクではなく世界のリスク。あるいは人権のリスクである。人権を考える場合には、誰の人権を考えるのか。誰に対する権利と考えているのか。その2つを明確にすることが必要。企業の領域に於いて、企業と人権についても考えて取り組んで頂きたい。

続いて、最後の講演者として東京都市大学大学院環境情報学研究科教授・国際グリーン購入ネットワーク会長・中原 英樹教授から「グリーン調達からサステナブル調達への現状と将来」をテーマに講演が行われました。
昨年は、偽装のオンパレード。これまでの企業は、過剰な需要をあおり、大量生産によって安価な製品などを供給してきており、資源の枯渇や環境破壊をもたらした。これからの企業は環境という、経済システムの中に取り込まれてこなかったものの外部化されたコストを測定し開示することが求められる。
グリーン購入の理論は、より良い世界を作りたいこと。環境問題に関心があるだけではなく、自分たちの行動を改善させて結果的には“地球温暖化を防ぐ”、“紛争鉱物を防ぐ”、“児童労働を防ぐ”などの問題で立ち上がっている。
( グリーン購入とライフサイクルの視点)
資源調達を含めてだが、その資源はどこからきているのだろうか。日本は島国であり、資源がない。ただ、何でも手に入ることができるなど、恵まれてはいた。ただし、それらをどういう現場で誰が作ったのかを考えたことがない。だから例えばだが、綿はどこで作られたのか−−などを考えることから始めなければならない。昔は、原料が来た段階で商品を作り輸出すればよかった。ところがLCA (ライフサイクルアセスメント)という考え方が定着してきて、安全性などの関心が消費者で高まり、それらにちゃんと答えるのが企業の社会的責任となり、それらが問われてきている。
 グリーン調達、グリーン購入のきっかけは琵琶湖の汚染の問題。日常使っている洗濯の水など、自分たちの使っている水が琵琶湖を汚染している。それを防ごうということで、滋賀県は琵琶湖の汚染防止に努めてきた。それをきっかけに1996年にグリーン購入ネットワークを設立した。2000年にグリーン購入法が制定され、そういう活動をアジアに広げる必要があるのではということで05年には国際グリーン購入ネットワークが設立された。1か国に1つのグリーン購入ネットワークを作ろうというのが趣旨で、現在香港を含めて11か国12のネットワークを作っている。
ただ、日本国内については、思った程進んではいない。何故ならグリーン購入法には縛りがあり、国及びそれに準ずる機関はよろしいのだが地方自治体に関しては総務省の許可を待っている。それが大きな理由で、日本にグリーン調達及び環境市場ができない理由となっている。地方自治体を動かさないと、本当の環境市場はできないと思っている。それで07年に地方公共団体向けグリーン購入取組ガイドラインが作成され、次いで環境配慮契約法が制定された。
(持続可能な消費と生産)
その中で新しい動きが出てきた。02年の持続可能な開発に関する国連の世界首脳会議がモロッコのマラケシュで行われ、持続可能な生産と消費を実現するためのプロセスが大事であることとなっていった(マラケシュ・プロセス)。その目的は、自国経済のグリーン化と具体的なビジネスモデルの作成にある。消費者の持続可能なライフスタイルを受けてクールビズ、ウォームビズなどの言葉が生まれてきている。以降、10年が経過し経済、社会、環境という3つの大きな問題点が浮き彫りになった。全ライフサイクルにわたるコストを企業はきちっと支払わないといけないこと。さらに廃棄物処理まで含めた対策やCSR調達−−など問題が多岐にわたっている。日本は雇用の問題が社会の不安要因としてのしかかっている。
(サステナブルな公共調達(SPPI)とは何か)
2012年のブラジル・リオデジャネイロで国連環境プログラム(UNEP)が、サステナブル公共調達イニシアチブ(SPPI)を発足させた。中国や韓国がこれに反応しているが、日本の反応は薄い。その中で、世界各地で持続可能な消費と生産の重要性が再認識され、グリーン購入からサステナブル購入、そして欧米を中心にフェアトレードの認識やサポートが強まっている中、CSR調達・倫理的購入への動きが世界的な潮流となってきている。そこには、人類はこの100年間、一体何をしてきたのかとの反省が根強く残っていた。
SPP(サステナブル公共調達)の中心は、なるべく資源消費を損なわないプロダクト・サービス・システムを取り入れたいということ。資源は枯渇するので、メンテナンスをちゃんと行わないと一番いい環境効率が落ちてくる。そこでSPPでLCAやLCC(ローコストキャリア)の考え方を使って改善すると同時に、貿易への影響を及ぼそうとのねらいがありその議論が世界で行われている。
SPPI の活動は、ワーキンググループ(WG)1から6までありSPPの概念を定義し、実施状況をモニタリングする。実施の障害のために革新的な解決法を提案し広めるとともに、サプライチェーンのグリーン化の問題、ハーモナイゼーションの問題などに対応することであり、国際機関と連携して血まなこになって取り組んでいる。ただ、日本の対応が遅れている。その中でASEAN+3という動きが出てきている。国連が日本への期待を込めて中国、韓国、日本におけるグリーン公共調達とエコラベルに関する知識の向上と強化を行うプロジェクトである。世界には437のエコラベルがある。ほとんどがヨーロッパのもので、その規格こそアジアにふさわしいということでEU総体として取り組んでいる。UNEPではSPPと同時にエコラベルという、基準をまずインターナショナルスタンダードとして作ってしまおうという考え方で進めている。そのタイプ1として、各国にある環境マークとどう整合性を持たせるのかというハーモナイゼーションが動いている。今年2月、日本の人に知ってもらおうということで、札幌で会議を行った。その結論は、グリーン購入だけではなく環境と経済の両立の面からの技術を日本が提供すること。アジアのために使うようなコンソーシアムを行うことが重要であると痛感している。札幌では同時にエシカル(倫理的)購入のための国際シンポジウムを開催し、アジアにおけるエシカル購入市場の可能性などについて議論をした。
エシカル推進協議会では、1つのミッションとして2020年に東京オリンピックが行われるが、そこでエシカルオリンピックをしようと考えている。エシカル購入・調達をして、フェアトレードオリンピックをしていきたいとの思いだ。

講演会の後、会場を移し、お陰さまで多くの方々にご参加いただき懇親会が催されました。

YKK株式会社・猿丸社長に乾杯で会が始められ、活発な情報交換が行われ盛況の内に国際フォーラムを終えることができました。

 

 

 
近藤繁樹事務局長
近藤繁樹事務局長
(エコテック・ジャパン社長)
岡本義行会長
岡本義行会長
(法政大学大学院教授)
ウィリー・ボイト氏
ウィリー・ボイト氏
(3pコンソーシアムCEO)

後藤俊彦氏
後藤俊彦氏
(サステナビリティ日本
 フォーラム 代表理事)

寺中誠氏
寺中誠氏
(東京経済大学講師)

中原英樹氏
中原英樹氏
(東京都市大学院教授)

猿丸雅之氏
猿丸雅之氏
(YKK株式会社社長)

 
 
第11回「CSR & コンプライアンス国際フォーラム2013」が開催されました。
会場風景1

◆ 開催日時 平成25年 5月21日(火)
◆ 会場    江戸東京博物館 会議室

   

「持続可能な社会」を基調に
「サプライチェーンに於ける安全製品確保とリサイクリング」をテーマとして
「第11回CSR&コンプライアンス国際フォーラム2013」が
5月21日、東京江戸博物館会議室にて開催されました。

冒頭、岡本義行会長より挨拶がありました。
岡本会長が訪問されたノルウェーは、物価も高いが、その分給料も高い。
しかもノルウェーは世界と活発な貿易をしている。生産性の高さがノルウェーの競争力になっている。この競争力は人材が支えている。高い生産性を達成するのは人で、社会の中で学校教育だけではなく、どうやって生涯教育を埋め込んでいくかが重要になってきていると指摘。TPPなど、国の壁が低くなっている時代に、日本の中だけで教育するのではなく、日本人を海外に出して、また外国人も国内に入れ、国際化をはかるようなシステムを築き上げることが大切。生産性を高める人材の育成が今後の我々に課せられた課題になると強調しました。

基調講演として、
エコテック・ジャパン株式会社社長近藤繁樹氏は、
「サプライチェーン管理の標準化と評価」をテーマに講演。
近藤氏は日本の百貨店では、販売している衣料品がどこから購入したものなのか、またどこで作ったかなど充分にわかっていないことが多い。販売する商品のサプライチェーンを知らないということは、無責任極まりないことになってしまうのではないか。また、その商品を世界で売ろうとしたら各国の法令遵守が不可欠で、米国のCPSIA(消費者製品安全性改善法)、ヨーロッパのREACH、中国のGB(国家標準)など、よく理解して売っていかねばならない。良いパートナー、お互いが理解しあえるパートナーとサプライチェーンを構築し、透明性を高めてゆくことが大切だ。例えば、折角いいTシャツを作っても、ワンポイントの刺繍で、刺繍糸がアゾ系の所謂発がん性染料を使っていたら、それでおしまいです。売る商品の染色整理加工のプロセス、製品を作っている全ての工場を含めて出来上がった製品の透明性(ボタン、縫いと、裏地などを含めて)など、信頼するサプライチェーン上で成り立っているかどうかが重要です。グループを作りその中で取引をして製品化していく。そこには、「コンプライアンス、相互の認定(認めようとする)、相互の安全の検証、相互の信頼、調達における柔軟性や透明性、不明な点や事項の試験、物づくりのグルーピング化とコミュニュ―ケーション創り」があるようです。

基調講演の後、
日本環境設計株式会社 代表取締役社長 岩元美智彦氏より
「リサイクリング 〜 FUKU-FUKU/PLA-PLUSプロジェクト」をテーマに、
同社の進めるリサイクルの文化創造についてご講演いただきました。
日本環境設計株式会社は2007年1月に設立された、7年目のベンチャー企業。経済産業省の支援を受け、Tシャツからガソリンの代替といわれているバイオエタノールをつくるベンチプラントをつくり、世界で初めて量産化に成功。さらに事業化を進めている。同社は、衣服を小売店舗が回収し、日本環境設計の技術を基にリサイクルする「FUKU-FUKUプロジェクト」を始めており、「あらゆるものづくりの分野でリサイクルを進め、循環型社会への形成・貢献」を目指している。
同社が考える循環型社会には3つのキーワードがあります。
@リサイクル技術
A回収の仕組み(消費者参加型)
BGoogleのビジネスモデル(リサイクルにブランドを付けるリサイクル版Googleモデル)
循環型社会を目指すにはこの3つのキーワードは一つ欠けてもいけないと思っている。
@リサイクル技術
同社が最初に手掛けた技術はTシャツからバイオエタノールを作る技術。
バイオエタノールは、車のガソリンの代替で日本でも法律があり、E3法律と言って車のガソリンの中にバイオエタノールを3%入れてもいいというもの。同社は綿製品糖化に特化した酵素を開発。酵素は、綿組織の中に入り組織を分解する。綿花は表皮がかたいため酵素が入りづらい。Tシャツの場合は、精錬工程でアルカリ処理をするためほとんど表皮が無くなり、酵素が入るようになった。ぼろぼろのTシャツは洗濯をして不純物や染料がとれることから早く糖ができる。糖化技術を確立して、実証プラント、量産プラントへと移っていった。1リットルのエタノールを作るのにトウモロコシで5本ほど必要、Tシャツでは10枚あると同じ量ができる。工場がタオルの産地である今治にあり、空いている窯を利用し釜に改良してそこに本拠地を構えた。工場では3日間で糖化し、エタノールのできる発酵(1日)をしてバイオエタノールを作っている。工場の規模を3倍にし、1万8000gのバイオエタノール水溶液を生産している。全国の「FUKU-FUKUプロジェクト」のメンバーが分別のないリサイクルで集めてきた衣服を糖化槽に入れる。
 同社はこのほか、年間約350万台(全体の約50%)の使用済み携帯電話のプラスチックを油化し、金属類をリサイクル(リサイクル技術2)、有機物をガス化しエタノールへリサイクルするプロセス(リサイクル技術3)なども推し進めている。衣料からのエタノール作成は4日といったが、有機物資源からエタノールができるまでは、ガス化まで約1時間。また、コストは100円きり、重量比も3分の1に縮小できる。2018年度に計画しているプラントで、約24万kl(`リットル)で、そのレベルだと、プラスチックの材料になり得る。経済産業省と環境省とで進めているプロジェクトである。
A回収の仕組み
工場に原材料を持って来るプロジェクトである。自分たちの仕組みで、量を確保し安定的な生産をしていくことに力点を置いている。 繊維は、「FUKU-FUKUプロジェクト」。あなたの服を地球の服にというコンセプト。同じブランド、同じ手法で進めていくもので5年経過。本日参加している企業にも参画して頂いております。年を追って回収する服が増えている。岩元社長は、このプロジェクトをユニフォームに拡大した”ユニフォームプロジェクト”、携帯電話をリサイクルする「PLA-PLUSプロジェクト」では、ドコモショップ2400か所にすべて同社の仕組みを取り入れ、個人情報も守る”国内携帯電話リサイクルプロジェクト”を行っている。 国外まで展開しインドへのプロジェクト(経産省の国家プロジェクト)に参画する”海外携帯電話リサイクルプロジェクト”などにも言及した。技術、PLA-PLUSプロジェクトはリサイクルの実績などが評価された。古くなった文具やおもちゃなどのプラスチック製品を、小売店の店頭で、消費者から回収してリサイクルもスタートした。
BGoogleモデル
昨年度は約20万人の消費者が参加(参加小売店10社)。今年度は約50万人の消費者を見込み、小売店も家電量販店大手9社と参加予定で調整しており計20社の参加の予定を示した。また、Googleビジネスモデルを活用したリサイクル版Googleモデルでは、 Googleの「無料でインターネット」を「無料でリサイクル」と展開し、広告を含めた収益で事業を展開する。PLA-PLUSプロジェクトでの消費者50万に参加の計画を再度示すとともに、FUKU-FUKUプロジェクトが、今年度からは、文科省から了解を得、学校の教科書に載ったことなどを明らかにした。

続いて、
パタゴニア日本支社環境ディレクター篠 健司氏から
「サプライチェーン調達におけるパタゴニアの事例」
についてご講演いただきました。
パタゴニア本社は、カリフォルニアにあり、日本支社はサーフィン場に近い鎌倉にある。売上高は、2012年度グローバルな売り上げで5億5000万j(日本円で約550億円)。事業内容は、スポーツのためのウエア、カジュアルウエアをデザインして販売。製造工場、設備はないので、パタゴニアの理念に共有する先とのビジネスを目指す。環境に配慮した素材を調達。寿命が来るまで5ワード(リサイクル・リデュース・リペア・リユース・リイマジンの5R)を推進。売り上げの1%を環境保護などに取り組んでいる非営利団体に寄付している。
@存在意義
ビジネスの継続のベースとなるのが、健全な地球環境。人々が住みやすいだけでなく、自然の美しさ、生物多様性が保護されたといったものを未来世代に残していくこと。それにパタゴニアが貢献できればと考えている。サプライチェーンの中で働いている労働者に公正な労働条件と安全な環境を提供すること。それが義務であるとしている。
パタゴニア(patagonia)は、1973年にできたブランドで今年40年を迎える。オーナーは、100年続く会社でありたいといっている。あと60年ではなく今から100年、常に100年持続する会社でありたい。成長のきっかけとなったのは、70年代、80年代にフリースや機能的肌着(汗を吸収して乾きが早い)を開発してアウトドア市場に導入したこと。
80年代の終わりから90年代のはじめ。そのころから素材の環境アセスメントを行い、何らかの形で汚染物質を排出していることが解った。以降、革新的なイノベーションをしたが、その最初が93年に消費者から回収したPETボトルからポリエステルを再生してフリース衣料を世界で初めて販売。また、96年春には綿をオーガニックコットンに切り替えた。現在では環境に配慮した素材として、それ以外にリサイクルされた、あるいはリサイクル可能なポリエステル、非塩素処理のウールなどを使っている。
ただし素材だけでは、パタゴニアが求めるような自信を持って消費者に提供できるものになるかというとそうではないことが調べることによってわかってくる。サプライチェーンを理解することによって、それが、地域、人々、環境との関係性があることが解ってきた。
A企業の責任(CR)とは
その中で環境や人々との関係では、適正製品を作る上で投入をする原料、水、エネルギー。それによって出来てくる間に製品だけではなく大気に排出するものもあれば、地中、地下水などに排出するものも出てくる。それをどう管理し、より社会的、環境的に影響の少ないものにしていくことだろうかと思うことにした。
藪氏は消費者、NGO・活動家グループ、メデイア、政府からの圧力など各セクターにおいて製品の生産過程に対する関心の高まりを述べるとともに、CRについて説明。包括的な企業活動であり、その責任には国際的な労働や人権に関する基準も含まれているとし、フットプリント・クロニクルで開示している透明性を高めるための活動内容や同社の方針などを示している。その中でジーンズを生産しているインド・アービンド社におけるサプライヤーの社会監査の事例を示した。アービンド社は、従業員の子どものための安全な託児所を設置。インドで排水処理施設を持つ数少ない工場の1つで、「処理した排水は排水溝に流しても安全」と指摘した。
B工場の評価・監査
公正な労働を推進し、工場での健全な労働条件を確保するための評価・監査をしている。
新規工場の場合では、環境/ソーシャル・レスポンシビリティ(SER)ディレクターは、資材調達、品質管理部門と連携し、新工場への製品発注に関与。SERディレクターは新工場との取引の完全拒否権を持つ、などと説明している。また、スイスに本拠を持つアパレル製品の第三者認証機関であるブルーサイン・スタンダードの内容を説明し、2011年秋時点で約30%の製品がブルーサイン認証済みとなっている。近い将来、100%認定をねらう。また、同社が加盟している米・アウトドア産業協会の中のエコ・ワーキンググループの活動と、新たに作成したエコ・インデックスの内容を説明した。それをさらに進化させたものが「持続可能アパレル産業同盟」で、世界の主要アパレル、小売店、NGO、米国環境保護局などで構成する組織で、世界中のアパレル、フットウエア製品が及ぼす環境的・社会的インパクトの削減に取り組むなど、取り組み内容を明らかにしている。参画企業の売り上げは、世界のアパレル・フットウエアの30%以上を占める。
パタゴニアでは05年頃からリサイクルに取り組み、10年秋冬シーズンにはリサイクル可能な製品は65%だった。リサイクルは重要だが、パタゴニアの製品を最も有効に利用してもらいたいこと。また、寿命が来る前のフットプリントを最小限にするのが考え。それによって、リサイクルを最後のオプションとし、リデュ―ス(削減)、リペア(修理)、リユース(再利用)の3Rと、さらに5つ目のRとしてリイマジン(再考、次世代のために持続可能な世界のあり方を考える)を加えた5つのRを推し進めていく。

更に
積水ハウス環境推進部部長 佐々木正親氏から
「サプライチェーン調達における住宅メーカーの事例」についてのご講演で、
同社CSR調達の事例を、木材の調達を中心にご紹介をいただきました。
@方針説明会
住宅は大変高額な商品、必要な住宅資材、部品も多くサプライヤーの数も多くなります。わが社の場合、1次2次サプライヤーに限っても約3000社以上になります。 積水ハウスは、住宅供給では業界トップですが、そのシェアーでは10%に満たない。 お取引いただいているサプライヤーもわが社だけに住宅資材を供給しているわけではありません。自動車や大手家電とは事情が異なります。わが社の場合はサプライヤー様の協力を得るには、サプライヤー各社に納得して協力をいただかねばなりません。
積水ハウスでは年2回、お取引先(サプライヤー)の会社方針とわが社の購買方針との整合性をはかるために「方針説明会」をしています。ただ一方的に、調達方針説明だけを行うのではありません。各お取引先の会社の企業体質改善を目的にした改善・対策・フォローの活動も合わせた取り組みをしています。お取引先への工場訪問・QC診断を継続的に実施し、また改善が進んだお取引先には改善事例の発表なども行っていただくなど、方針説明会を通じて、お取引先各社への水平展開も促進しています。お取引を通じてお互いのレベルアップも目指す活動です。化学物質の利用は住宅も規制がありますが、近年、シックハウスなどが注目されています。最近の消費者の変化は、化学物質の基準を守っている、法律の範囲内だということだけでは満足を得られないし、住宅販売の差別化にはつながらないといった傾向もあります。販売の差別化の視点でもさらに突っ込んだ情報の開示などが大切と思われます。
Aサステナブル宣言
さて、木材は住宅資材の約13%を占めていますが、調達の透明性、公平性は特に重要な資材です。自然保護の視点での大規模伐採、絶滅危惧種の保護、等々世界の各地で伐採される木材の半数以上が違法伐採、また自然破壊につながるなどとの指摘もあります。わが社は「サステナブル宣言」を企業活動の基軸として環境・社会と住まいの経済のバランスを考慮した経営を目指しています。例えば森林が維持できる範囲での計画的に伐採することが「持続性」の視点で重要と考えます。 木材の資材を供給頂く約60社のサプライヤーと協力し実態調査を行い木材調達のガイドラインを設定しました。主な調査項目は、樹種・原産地・植林木か・CoC認証の有無等々。
B10項目のガイドライン
しかし現実はすべて木材を把握できるわけではないことも、現実であります。木材の違法伐採は森林破壊といった環境面にとどまらず生態系にも影響を与えるものなどの問題も重要です。そこで国際NGOなどの協力も得ながら、調達の指針では木材にランク付け(点数)を行い、絶滅危惧種の木材は低い点数を、また計画的な伐採をした木材(認証材)など問題の少ない木材には高い点数を設定して、調達の透明性を確保するようにしています。これを総合評価して木材調達の改善につなげる。点数をつけることでその調達の評価を可視化してマネジメントをしてゆくことにしています。ちなみに木材調達のガイドラインとしては、違法伐採の可能性が低い地域から産出された木材、貴重な生態系が形成されている地域以外からの産出された木材、森林の回復速度を超えない計画的伐採が行われている地域から産出された木材、等々10項目のガイドラインを設定している。これらの情報はサプライヤーと共有し、木材調達のレベル向上を目指しています。持続可能な木材利用のための木材調達ガイドラインの取組、また社会的な公正に配慮した木材「フェアーウッド」の調達を推進する取組に、平成21年度環境経営大賞(第8回)で「環境価値創造部門」最優秀の「パール大賞」をいただきました。
「ご清聴ありがとうございました。皆様のCSR調達活動のご参考になれば幸いです。」と佐々木正親氏に講演を締めくくりいただきました。

講演会の後、会場を移し、お陰さまで多くの方々にご参加いただき懇親会が催され、 活発な情報交換が行われ盛況の内に国際フォーラムを終えることができました。



 
岡本義行会長
岡本義行会長
(法政大学大学院教授)
近藤繁樹事務局長
近藤繁樹事務局長
(エコテック・ジャパン社長)

岩元美智彦氏
岩元美智彦氏
(日本環境設計   
 代表取締役社長)

篠健司氏
篠健司氏
(パタゴニア日本支社
 環境ディレクター)

佐々木正親氏
佐々木正親氏
(積水ハウス   
  環境推進部部長)
 
第10回「CSR & コンプライアンス国際フォーラム2012」が開催されました。
会場風景1

◆ 開催日時 平成24年 5月22日(火)
◆ 会場    江戸東京博物館 会議室

   

日本アパレル工業技術研究会創立40周年とCSR&コンプライアンス研究フォーラム創立10周年を記念した「第10回CSR&コンプライアンス国際フォーラム2012」が5月22日に東京江戸博物館会議室にて開催されました。

はじめに本フォーラムの近藤繁樹事務局長より、「今回の創立記念フォーラムにはYKKやイオンなど当初より我々の活動に賛同いただいている大手企業のトップの方も出席いただいた。10年前はCSRやコンプライアンスという言葉が普及していなかったが、その頃から皆さんに支えられて企業のもつ社会的責任をどのように担保するか、サプライチェーン構造の中で企業がいかにパートナーシップを作り上げていくか、という問題に取り組んできた。現在では消費者に対する安全性への担保も加わり、先進国の企業のサプライチェーン構築に日本のマネジメントやシステム管理が加わる事によってこれらが実現できると実感している。」と開会の挨拶をされました。
10回目の基調講演として、3p Institute for Sustainable Management CEOのWillie Beuth氏による「サプライチェーン構築と評価」が講演されました。Beuth氏によると、繊維製品のサプライチェーンは縫製だけを見れば簡単に見えるかも知れないが現実には非常に複雑で難しい。ビジネスはバイヤーによって動かされているので、バイヤーは"製品が作られている所"に行き、見て欲しいと思うが、たいていは会社のトップが発するメッセージを聞くに留まっている。また消費者は保障されるべき安全性を確保する為に、基準やメディアの情報を信用しがちだが、"エコ"などの基準は曖昧で、メディアを鵜呑みにしては危険。そこで、「ベンチマーキング」という自社の実績基準をベスト事例と比較するビジネスプロセスを導入することで、世界的基準や規範を認識したり、自発的な持続可能性要因を加えた業績目標管理ができることを説明しました。

続いて「CSR調達」という議題で、業界を代表する大手企業の3名とWillie Beuth氏のパネラーによる購買のサプライチェーンの現状と将来についてパネルディスカッションが行なわれました。

パネラー:
 株式会社ダイドーリミテッド 取締役 大川伸氏
 YKK株式会社 ファスニング事業本部品質・環境センター長 水原久佳氏
 株式会社レナウンアパレル科学研究所 代表取締役社長 藤吉一隆氏
 3-P of Institute for sustainable Management CEO Willie Beuth氏

司会:CSR&コンプライアンス研究フォーラム事務局長 近藤繁樹氏

近藤氏:サプライチェーン上のCSR調達は進み具合に大きく差があり、繊維業界のサプライチェーンは時間的に長い。パネラーの皆さんには、自己紹介を含めて、CSR調達についてどのように取り組んできたか、をお願いします。
大川氏:内部統制の独自の仕組みを「ダイドーエンゲージメント」と制度化して店頭やお客様の品質や安全を保障してきた。
水原氏:YKKは71カ国55工場の品質・環境・安全を推進しグローバルな統括を担当してきた。
藤吉氏:"日本アパレルファッション産業協会"のコンプライアンス委員会の委員長を務めており、品質管理ガイドラインを作成している。CSR、サプライチェーンマネジメントを通じた品質管理が鍵になってくる。レナウンアパレル科学研究所は、家庭用品品質表示法が出た50年前から会社としてコンプライアンス(法令順守)と消費者に対する品質保証に取り組んできた。
Beuth氏:年寄りのドイツ人で環境関連を何十年かやっている。アミンへの対応は二つの方法があり、テストで見つける方法は結果がわかるだけで将来に対する知識の蓄積はない。もう一つは初めから使わない方法。禁止されたアミンの種類はヨーロッパでは25種類、1989年に規制が始まった。業界の経験があるので"禁止されたアミン"(市場にある70%以上の染料はアゾが入っているので「アゾアミン」とは言わない)の代替を探すのは難しくない。従って、繊維製品の購入・販売などを担当している方はできるだけ早く、テストを避けるようなシステムを構築することを勧める。10年前から話しているが、規制は厳しくなる一方で、法律や規則はそれぞれの国に突然やってくるので、できるだけ早くスタートしてください。

近藤氏:「ダイドーエンゲージメント」導入の背景をお聞かせください。
大川氏:お客様第一主義、品質本位と謳ってきたが全体をカバーできなくなってきていた。また工場が全て中国に行った事で「CSM2000」を導入し品質管理、従業員、環境などに取り組んできたが、メインブランドであるニューヨーカーなどは70%以上が外注になり、製造メーカーとしての責任が果たせないのではないかと感じ、全ての商品の安全・安心・品質を担保したい、という想いから「ダイドーエンゲージメント」を運用してきた。

近藤氏:業界の方向性についてレナウンの藤吉さんにお伺いします。
藤吉氏:レナウン品質安定制度で取り組んでいる中、カシミアやオーガニックコットンが出てきた。アパレルも世界中が調達先となり、トレーサビリティが取れない商品に自社の名前をつけて売るようになった。どこで作られ染められているか、どのように調達されているかを自らその場に行って調べもせず、相手任せにしてしまったことが一番の問題。サプライチェーンのその場その場での確認を繋げて行けば解決できるのではないか。また規制物質への日本の考え方は"事が起きてから"が多かったが、もしかしたら起こるかも知れないリスクを正しく評価して、規制していく、という方向になりつつある。何万種もの化学物質全てをテストしていたら間に合わない。第一歩としてアゾ染料の規制をアパレルで定着させ、サプライチェーンの中で安全性を担保していく仕組みを構築していき、新しい規制物質にも対応していける方向に動いている。

近藤氏:パワーポイントを用いての各社のCSR調達の実情をご紹介いただきます。
水原氏:YKKは「善の巡環」精神で創業者である吉田忠雄氏の企業精神の共存やつながりから更なる企業価値を求めて、どこで作っても同じような安全性のある商品を届けるFGQMC(ファスニンググローバル品質管理委員会)、19拠点で使われているグリーン調達システム、トレーサビリティシステムは11カ国で導入、2002年からグリーン購入に取り組み、2007年からはYFGP(グリーン調達管理システム)で何万種類もの部材の品質を全世界で管理している。その他にも、2011年施行予定だったCPSIA(米・消費者商品安全性改善法、鉛含有量が100ppmに強化)へは2010年より前倒しで対応し、これらのお金の掛かる検査レポートのために第三者検査書として運用できるよう、YKK工機技術本部の分析・解析センター分析室が鉛含有量の分析値を保証できるファイヤーウォール試験所として登録認定を受けた。エコテックスタンダード100なども取得し、長年のエコテックス活動を認められ2012年5月度の賞を先日受賞した。
大川氏:ダイドーエンゲージメントの骨格をなしている「ダイドーサプライヤー行動規範」(COP)で、自社工場やサプライヤーに対して、共通の基準を定め要求しているのと並行して各種品質基準書を作成し、COPを安全と品質の両面から整備した。COPが求めているのは、ダイドーの品質基準を守ること、製品安全を守ること、さらにメーカーとしての適正環境基準を守ること。適正環境基準とは、例えば水やエネルギーを節約したり、当然CO2の排気量削減など、苦難をどのように乗り越えていくかも問われている。COPの運用に関しては、商社代理店を介して間接的にものづくりを依頼する場合も含め全てのサプライヤーに対してお願いしている。その際にどのように要望を守ってくれたかをチェックする第三者評価機関(ドイツgsm社)を通じて、サプライヤーに数百の詳しい質問をし、COP遵守を確認している。評価結果は安全性や品質など各項目についての遵守度(カバー率)の他に、その理由が分るようになっている。それらは全てWebを介して行なわれ、サプライヤーの企業秘密は守られる。しかし、ニューヨーカーだけでも約300社あり、主要20社にアセスメントさせてもらっているのが現状で、製品の全ての安全を担保するにはこれに続くプランが必要だと感じている。

近藤氏:会社生命を掛けての取組みの実態をご説明頂きましたが、日本の繊維製品について、小売の実態も含めて業界の意識についてお話ください。
藤吉氏:日本のアパレルは現在少し元気がないが、市場規模は10兆円を超えており、"アパレル"と呼ばれる事業所は2万所ある。30年前はものづくりに対する品質は進んでいて、日本のアパレルはお役所の言う再発防止策などをまじめに聞いて取り組んできたが、世界に出て行かなければならなくなり、何をやらなければならないかで悩んでいる。繊維産業はサプライチェーンの塊なので、全体で取り組まなければ出来ないことが現実的になってきた。繊維産業は管理の仕方を変えていくターニングポイントを迎えている。間違っていたと感じているのは、これまでのデータさえあればいいという考え方。作ったプロセスが管理下で実行されたかを試験して判断することが大事なのにデータ主義になっているのは非常に問題。データは確認のためにあり、何よりも基準が大事といえる。正しい要求をし始めた消費者からデータを求められるようになったが、いい仕組みとは言えない。調達する所、作る所、売る所を含め、品質管理の仕組みを変えていかなければ日本のアパレルはなくなってしまう。「安心、安全と水はただ」と言われているように、安全は守られて当然という意識が強いので、日本では認証制度などが広まっていかない現状がある。自分にも買ったことの責任があることを知る「消費者教育」が大事になってくる。新しい仕組み作りには、人も時間もコストが掛かることを会社のトップが理解し管理することで、日本のアパレル産業の新しいシステムが構築できる。勝負するのは、ファッション・創造力、お客様に対する満足感を提供することだからこそ、一緒になって模索していくことができればいいと思う。

近藤氏:最後に"今後の課題"をお願いします。
水原氏:部材サプライヤーとして安全性の高い製品をお客様に届けていけるかが基本で、これまでも安全性に関しては相当投資をしてきた。世界71カ国で商売しているので、様々な基準、国際標準、認証に対して、世界共通のCSR調達をクリアしているかチェックが必要だが数百社のお客様にシステム的に対応できないか、ということ。一番の課題はサプライヤーと同時にバイヤーでもあるので、原材料メーカーも同じようなCSR調達の考え方をしてもらうことである。ファスナーという限られた部材なので、時間は掛かるが実現できると思う。
藤吉氏:最大の課題は人の問題。仕組みは作ったが、何が目的で、何をすればいいのか正しい判断ができる人間を作らなければ、その仕組みの意味がない。若い人はテクニックを好むが、ファッションの遊びの部分と、仕組みを切り分けて考え、どのような材料でどこで売られるかなどがわかる人を育てていくこと。問題がおきた時に正しく教育していくことの繰り返しだと思っている。
Beuth氏:トレーサビリティというが、トレースするものが分からない、具体的にどうするのか見えていない状況。実際オーガニックコットンは1.5%しかないのに、小売りでは40%も売られている。オペラのアイーダのように"気に入らないなら買わない"というエモーションが必要になってくる。ひとつだけ言いたいのは、全世界共通の"標準"はありえない、スタンダードはお金が掛かるということ。
大川氏:先程の続きになるが、この仕組みは、アセスメントを受ける会社の実力や企業としてのポジションが全て分ってしまう。それらをしっかり理解して、我々と一緒に課題を克服して、世界に通用するメーカーを目指し、双方のレベルアップを図ることが主旨になっている。

近藤氏:今日お集まりの皆さんは相互理解のよきパートナーとして発展していく関係作りをしていってほしい思います。長時間にわたりご清聴ありがとうございました。
今回でアパレル工業技術研究会の名誉顧問になられる大正17年生まれの東京工業大学名誉教授清水二郎氏よりご挨拶パネルディスカッションの総括をお願いします。

清水氏:ダイドーと言えばかつて稲沢工場で繊毛や洗毛を学び、手で触り握って、匂いや舐めることで品質が分るようになることを教わった。また工場の世界地図には、羊が食べた草を育てた土地の土が貼ってあり、土を見れば羊毛が分るようになる教育をしていた。工場を中国へ全て移したことで大変注目をしていた。YKKは尊敬すべき会社のひとつで、それは品質保証をシステム化含めて全て自社で成し遂げたからで、全てをよその国で作る時代になり、それらの思想がどのように残され生かされているか興味を持って聞いた。それをしっかりと作り上げながら、YKKは世界的企業になっている。またレナウンは、同級生の中国からの留学生二人がレナウンでエンジニアになり、ある時、多量生産方式を築くカッティングを見せてもらった。従来のナイフを使うカッティングの他に、レーザーと水を使うカッティングを熱心に研究していた。その頃から均一な品質をどう作り上げていくか、というシステム作りを考えている、と思って今日の話を聞きました。ボイトさんは、初めて会った時に、将来駄目になるものは最初から入れるな、と当時は革命的な"フィードフォアードコントロール"の概念を持っていた。単純なようで厳しい考え方を、日本に広めようとしてこられた。

閉会に際して、本フォーラム会長の法政大学大学院教授の岡本義行氏より、「1970年代後半にシリコンバレーのような地域での試みが見られ、評価された時があったが、それに代わる第3の分水嶺が特に今の日本に必要なのではないか。製造業は日本を滅ぼすなどと言われていて、確かにデフレが続いているが、企業とベンチャーとのコラボレーションなど、新しいタイプの企業を生み出すことをして、製造業だけではなく、スマイルカーブの右と左のように、販売と一緒になって企画や戦略を練るような事業で世界展開できるビジネスモデルが考えられるのではないか。まだイメージは固まってないが、これからの大きな変化をどうやって生きていくか、どうやって日本を復興していくかを考える必要があるのではないかと感じている。」との挨拶があり、第10回の国際フォーラムが締め括られました。



国際フォーラム終了後、会場を東京江戸博物館七階・桜茶寮に移し、
記念式典と懇親会が催されました。
福永成明氏 司会 福永成明氏(ドレスメーカー学院教授)
猿丸雅之氏祝辞 猿丸雅之氏(YKK社長)
田川和幸氏 来賓 田川和幸氏
(経済産業省製造産業局 繊維課 課長)
小林道和氏 乾杯 小林道和氏(エドウイン商事専務)
記念品贈呈 清水二郎先生へ記念品贈呈
安江恵氏(ダイドーリミテッド取締役)
花束贈呈 清水二郎先生へ花束贈呈
黒田まゆみ氏(株式会社フクイ)
中締め挨拶 中締め挨拶 風間健氏
(武庫川女子大学名誉教授・ 日本アパレル工業技術研究会理事)

多くのご参加の皆様により盛況な記念式典と懇親会になり、
風間理事による中締め後、賑わいの内に閉会となりました。



 
 
第9回「CSR & コンプライアンス国際フォーラム2011」が開催されました。


◆ 開催日時 平成23年 5月24日(火)
  午後1時30分 - 午後5時30分
◆会場    江戸東京博物館 1F 会議室
◆参加人員  90人

   

「グローバル・サプライチェーン・マネジメントの検証」をテーマに毎年開催されている「CSR&コンプライアンス国際フォーラム」の第9回目となる講演会が、5月24日江戸東京博物館会議室で開催されました。

今回は「消費者の安心を得るために、企業は"安全"をどの様に保証するか」を議題に、サプライチェーン・マネジメントの最新事例や、アジア・日本のCSRや、繊維産業における化学的安全性について化学企業や試験・認証サービスの立場から見解が述べられるなど、東日本大震災後の日本や世界に必要な情報が講演されました。

 はじめに、CSR&コンプライアンス研究フォーラム会長で法政大学大学院教授である岡本義行氏は、東日本大震災の復興には日本のGDPの6%程が必要になる、として、ノルウェーの漁業、オランダの農業、フィンランドの林業を例に、日本の産業構造を何とか再生して、関東大震災のように復興を成し遂げたい、その為には繊維産業に限らず、他の産業とMIXした別の新しい産業が興るなど、活発な産業活動を期待したいと述べられました。

 本フォーラムで9回目の登壇となる3p Institute for Sustainable Management、CEOのウィリー・ボイト氏による「モニタリング・マネジメントの検証と普及活動-最新事例」では、冒頭にアメリカのCPSIA(消費製品安全改善法)とヨーロッパのREACH(EU化学物質規正法)は毎年新しい規制物質が加わるなど非常に真剣に取り組んでいること、中国・ベトナムでも独自の規格や公告が行なわれていることが紹介されました。
またYシャツを例にサプライチェーンの追跡と査定・評価報告、重要点を注意喚起する方法、そしてQRコードを利用したタグの機能を詳しく解説され、引き続き、透明性・トレーサビリティー・信頼の3Tが不可欠であると述べられました。

 次いで、アジア最大のCSR専門コンサルティング組織であるCSRアジア日本代表の赤羽真紀子氏は、「アジアのCSRと日本の企業にもとめられているもの」と題して、日本企業がその存在感を失いつつあるアジア市場で勝ち残っていく為には「CSR」が不可欠であることを訴えました。
日本企業は環境やCSRの実践レベルは高いにもかかわらず、近年は世界各国の企業・組織・団体が競って参加するような国際会議などの舞台でも日本企業からの参加は非常に少なく、何事にも慎重すぎる意思決定、英語での発信が苦手な日本の世界的評価は低くなっています。
また3月の東日本大震災はトリプル災害として原発事故を機に「日本企業のチェック機能やガバナンス(統治)の欠如している仕組が露呈した」という海外の厳しい指摘が紹介されました。
さらに日本企業は海外の従業員から"帰属感がわかない""コミュニケーションがよくない""キャリアパスが明確でない"と見られている事を挙げて、海外工場では従業員が孤独であり繋がりを求めて職場に来ることから、"コミュニケーション"や"社員のつながり"が大切である、と述べられました。

 三番目に、化学企業からの見解として、テキスタイル業界の世界的リーディングサプライヤーであるハンツマン・ジャパン株式会社のテキスタイル機能材部より林淳二郎氏の「繊維産業における環境負荷の低減」が講演されました。
はじめにハンツマン社の紹介があり、Tシャツ一枚の原料や輸送、生産のほか、洗濯などの使用も含めた水・エネルギー使用料の削減や時間の短縮などの環境要求を満たす染色・加工方法などを提案していることが紹介されました。
次に法規と市場要求での環境や安全・衛生について、「REACH」、「エコテック100」に対するハンツマン社の実際の取組みを紹介し、最後にまだ余り知られていない「Bluesign(ブルーサイン)」の"クリーンな原料はクリーンな製品を生み出す"という包括的なアプローチや利点が述べられました。

 最後の講演は、テュフ ラインランド・ジャパン株式会社テクノロジーセンターの栗田隆司氏による「化学的安全性や人体への無害性を消費者に伝える試験・認証サービス」についての講演でした。
TUV Rheinland(テュフ ラインランド)社は、ドイツにボイラーの検査機関として135年以上前に設立され、現在は第三者試験認証機関として世界各国で製品安全認証とシステム認証をおこなっており、身近なところでは、パソコンの裏や電源にTUV Rheinlandの認証マークが記載されている。
栗田氏の講演では、日本では「安全はただである」、欧米では「安全はコストがかかる」という考え方が根本にあり、欧米ではRAPEXなど消費者を守るいろいろな指令、規定が多数存在するという話があり、続いてそれらのリコール事例や各指令、規定について紹介がありました。

最後には、福島原発の事故を受け、消費財の放射能含有に関する海外規制及び消費者反応の動向が語られ、TUV Rheinlandでの放射能に関する測定のサービスやその事例紹介が行われました。



 
岡本義行会長
岡本義行会長
(法政大学大学院教授)
ウィリー・ボイト氏
ウィリー・ボイト氏
(3pコンソーシアムCEO)
近藤繁樹事務局長
赤羽真紀子氏
(CSRアジア日本代表)

西面和巳氏
林淳二郎氏
(ハンツマン・ジャパン
テキスタイル機能材部)

小林道和氏
栗田隆司氏
(テュフ ラインランド・ジャパン テクノロジーセンター)
 
 
 
第8回「CSR & コンプライアンス国際フォーラム2010」が開催されました。
会場風景

◆ 開催日時 平成22年 5月17日(月)
午後1時30分 - 午後5時15分
◆会場    江戸東京博物館 1F 会議室
◆参加人員  92人

   

2010年5月17日江戸東京博物館会議室にて
第8回 CSR&コンプライアンス 国際フォーラム2010 が開催されました。

今回は「グローバル・サプライチェーン・マネジメントの検証」をテーマに、
繊維製品における有害物質の管理、CSR、
企業行動規範の取り組みなど、最新事例を含む情報が講演されました。

プログラムに先立ちまして、
CSR&コンプライアンス研究フォーラム会長で
法政大学大学院教授である岡本義行氏から、
「無縁社会とも言われるようになった今日、
どうやって人間関係を構築していくのか、と言うことが議論されている。
企業も個人も社会的位置づけを求めており、 コンプライアンスやCSR に取り組むことで我々の絆を深めていきたい」と述べられました。

続いて毎回講演している3p Institute for Sustainable Management、CEO のウィリー・ボイト氏による
「グローバル・サプライチェーン・マネジメントの検証と普及活動-最新事例」が紹介されました。
「最近よく取り上げられる"カーボンフットプリント"はサプライチェーンの中で潜在的CO2 削減のポイントを発見する為のツールとはなるが、ドイツの最近の研究結果によると、地球温暖化の回避・削減に導く指標とはならず、消費者に与える会社のイメージを良くする効果に留まる。安全性や環境保護、CSR に則った製造、情報開示など消費者の真の要求にどのように応えるか、これからは透明性・トレーサビリティー・信頼をキーポイントにQR コードなどを利用した消費者目線のパフォーマンスマネジメントが必要」との説明でした。

次にエコテック・ジャパン代表の近藤繁樹氏による
「サプライチェーンに於ける安心・安全・信頼モニタリング」では
これまでに各方面で講演された内容を元に、
法令遵守を前提とした持続可能な信頼と価値を創り出す方法や手段を
最新の情報を踏まえながら講演されました。
「世界の現状としてEU では、REACH 規制などが前提となり、
リコール情報を毎週WEB に公開するなど(参考「RAPEX」www.rapex)
IT・WEB 技術を駆使活用して対応している。
日本ではエコモニタリングの基準が不明確で野放図となっている。
中国における繊維製品の検査についてとりわけ目立つ動向として、
EU への輸出では有害物質などのGB 規格(中国工業規格)で厳しく取り組んでおり、中国国内で売る輸入品に対しては 税関検査などで染料や顔料を徹底的に調べるなど、 輸入に対する規制の手段としても利用され、
今後中国で売る場合にも世界のお客様要求に応えるといった厳しさが生じてくるのでは」と述べました。

プログラムの後半4つ目は、
イオン株式会社CoC 事務局長の西面和巳氏に
CSR 調達、取引行動規範についての講演をいただきました。
「イオンサプライヤーCoC は2002年
国際基準SA8000 推進プロジェクトとして活動をスタート。
2004 年には国際基準SA8000 の認証を取得、
また国連グローバル・コンパクト(GC)の10 原則を参考にして
イオンサプライヤーCoC(取引行動規範)を制定し、
プライベートブランドTOPVALU のサプライヤーに対しパートナーシップを醸成しつつ、 CoC 要求事項の実施状況について監査・認証のよる管理活動を継続している」との詳しい解説がありました。
最後に「国連GC とは、地球規模の制約に対して民間団体が主体となって環境や雇用労働の問題に一緒に取り組むものである。このジャパンネットワークが2009 年に100 団体を超え、サプライチェーン分科会活動などを通してCSR 調達に取り組んでおり、今年度はGC 本部からサプライチェーンに関するガイドラインがまとめられる」との紹介がありました。

プログラムの5つ目として、
株式会社エドウイン商事の専務取締役小林道和氏より
「日本ジーンズの世界的パフォーマンス構築について」
と題して講演をいただきました。
小林氏は、「日本人は現場で生産をしている人たちが商いを理解しており美的感覚を持っている。日本でしか出来ないことを活かして物づくりをしていかないといけない」と話され、また、格安ジーンズに関しても、「コスト要求を元に商品が作られ、手抜き、不正、搾取によるコストカットの「改悪」になっているのではないか?消費者も考えなければいけない」と日本のメーカーが取り組むべき課題について語られました。

セミナープログラム終了後、
江戸東京博物館内のレストランにて懇親会が開催され、
日本アパレル工業技術研究会・清水二郎会長の挨拶と乾杯のあと、
多くのご参加の皆様により活発な懇談による情報交換がされました。



 
岡本義行会長
岡本義行会長
(法政大学大学院教授)
ウィリー・ボイト氏
ウィリー・ボイト氏
(3pコンソーシアムCEO)
近藤繁樹事務局長
近藤繁樹事務局長
(エコテック・ジャパン社長)
西面和巳氏
西面和巳氏
(イオン株式会社
  CoC 事務局長)
小林道和氏
小林道和氏
(株式会社エドウイン
  商事専務取締役)
清水二郎氏
清水二郎氏
(日本アパレル工業
  技術研究会会長)
 
 
 
第7回「CSR & コンプライアンス国際フォーラム2009」が開催されました。
会場風景

◆ 開催日時 平成21年 4月14日(火)
午後1時30分 - 午後5時15分
◆会場    江戸東京博物館 1F 会議室
◆参加人員 110人

   

今回のテーマはCSR構築のための「グローバル・サプライ・チェーン・マネジメント」として、以下のプログラムで進められた。

講演に先立ち、CSR & コンプライアンス研究フォーラム会長・岡本義行氏は「製品やサービスを受け取るには基本的に信頼関係がなければならない。日本は『針千本飲ます』など罰があるように、信頼において、良い関係を築いていた。データによれば日本人同士より米国人同士の方が更に信頼関係が強いという。今後サプライチェーンの中で、どのようにして信頼性を高めていくかが大切である、と挨拶された。

3p Institute for Sustainable Management CEO・ボイト氏はサプライチェーンにおける“信頼と価値”と題し、スイスでのナッツチョコレートに重金属残留が検出された際の調査結果等、幾つかの事例をあげながら次のような講演を行った。
商品の生産がグローバル化している現在、品質管理は最終検査では法的立場は守ることが出来るかもしれないが、それだけでは不十分となっている。製品回収はしばしば起きるべき理由があり、起きている。消費者・環境の保護は情報の透明性に基づいてはじめて可能となるし、商品の安全性のためのトレーサビリティーは製品の製造過程だけではなくサプライチェーンを含む製造販売すべてをチェックする必要となっている。
製造における使用規制物質は政府・協会・企業により公表され、製造業者は必ずしも納得できないまま、それらの物質が製品に含有されていない旨の宣言書への署名を求められ、署名のある宣言書は買う側に安全保障という幻想を抱かせることになる。本来、必要なのは材料及び製造工程を吟味し安全な調達源を構築することにある。
欧米-を中心として規制物質が政府などから公表されており、テキスタイル製品や履物も化学物質登録評価規制(REACh)の認証を受けなければEU諸国への輸入は許可されないとも報道されている。これらの要求に持続的に対処していくのには、生産チェーンにおいて使用される材料、物質、調合などの技術情報を収集し、規制物質違反や規制物質の悪影響を削減するための集中情報システムを構築する必要がある。すなわち、小売・輸送・製造へ遡上し、それらのサプライチェーン上の材料・物質・製造方法にある潜在的リスクを特定することができる生産履歴管理システムを導入すべきであるとした。

続いて、TUV Rheinland Group CDM プログラムマネージャー Dr. Manfred Brinkman 氏は「地球温暖化とサプライ・チェーン・マネジメント」と題し次のように語った。
現在、地球温暖化などの環境変化は保険の支払いが増加し、民族間の対立も増加している。こういった社会変化のなかで消費者は広い分野においての要求事項を増加させている。ガスや電力などエネルギー資源に関してもどのように消費されているか明確にしていくべきだ。1997年に京都議定書が合意されたが、これは先進国が重点的に進めなければならない。発展途上国のCO2排出量削減プロジェクトとしてCDM(Clean Development Mechanism:クリーン開発メカニズム)がある。これは先進国が発展途上国での削減計画に投資し、技術移転などによりCO2を削減、クレジットを先進国が購入するもの。発展途上国は開発のために環境対応コストをかけたくないが、CDMプロジェクト利用により効果をあげることが出来る。現在このプロジェクトは電力を石炭から風力へ転換する中国の他、インド、ブラジル、メキシコなどで進められており、60%はエネルギー産業が対象となっている。
そのほか先進国間の取引であるJI(Joint Implementation:共同実施)やVERs(Voluntary Emission Reduction:自主的排出量削減)があり、CDMではトン当たり14〜30ユーロで取引されている。このCDM市場は2006年の5億6千万トンから1年間でほぼ倍の9億5千万トンに増加している。
気候変動に対する京都議定書後の国際連合の枠組み条約は12月にコペンハーゲンで行われる予定(COP15)であり、既に交渉が始まっている。
最近、カーボンフットプリントにより製品が販売されるまでに排出される温室効果ガス(CO2)の量を表示するようになっているが、企業がいつどこでCO2が発生させているのかわかるのがメリットといえる。CSRは当初の法令順守から経済的利益や企業のイメージアップへと進化し、更に投資の誘引や市場での優位性を高めることで持続的業績向上につながるところへと高度化している。

三人目の講演者、AWI(Australian Wool Innovation Limited) CSR/サプライチェーン管理担当マネージャー Ben Lyons 氏は、ウールマークの品質保証に関する今後の方向性に関して次のように話された。
ウールは天然繊維であるため生分解性を持ち持続可能な繊維でもあり、ウールマークは常に改良されてきたメリノ種の羊毛の品質を保証するマークとして長い歴史と高い認知度を誇っている。最近各種のグリーンマークが氾濫しているが、グリーン認証には「トレーサビリティー」「CSR:加工段階においてもエコ基準を考慮」「プロセス認証」という、3つの要素が必要とされる。現在ウールマークは検査品質のマークとなっているが、今後は「コンプライアンス」と「トレーサビリティー」を追加し、サプライチェーンにおける品質保証マークにレベルアップし、牧場から製品までをつなげた高品質マーケットセグメントと位置づけていく。既にオーストラリアメリノは広範囲にわたる品質証明システムを有しており、全ての羊毛俵からサンプル検査による結果も証明されている。
新しいウールマークはこうした高度で透明性の高いシステムを応用することで小売店とサプライチェーン・パートナー双方のツールとなる、と語った。

最後に東京工業大学(TIT)名誉教授・清水二郎氏は今回のフォーラムでの講演内容に触れながら、日本の産業構造の変化を歴史的にレビューし、次のような話をされた。
日本の製造業は製造ラインが短く柔構造であり、多品種少量生産が可能になっている。また、これまで品質管理は不良を改善するフィードバック手法が主体であったが、コンプライアンスの手法は造る前に検査することであり、それまでの手法と異なるものである。
サプライチェーンにおけるTrustValueは製造者、供給者、消費者の積集合(共通部分)であり哲学でもある。またそこにおけるブランドの確立には、検査において評価と保証は分離すべであり、それがTUVという第三者機関の存在意義でもある。日本の老舗の理念はには「三方良し」がある。老舗すなわちブランドが大切だが、近年多くの老舗で不祥事が起きていることからもブランドの確立には第三者認定が必要とされる。
CO2排出に関して京都議定書では最も排出量の多い米国、中国、インドが参加していないため、先進国の1/3が義務を負っている。COP15に米国が入るのかがどうかで状況は変わるが、オバマ大統領になってからCO2売買が始まっている。米国が次のビジネスとして取り組んでいくのか注視する必要がある。日本も不況の中で構造改善が必要とされるが、日本はCO2に関しては既に高度なレベルに到達していて、更に進めるには多くのコストがかかる。今後は産業連携を進める中でこれまでの技術を利用し、ビジネスとして取り組んでいくべきだろう、と今回のフォーラムを締めくくった。

 
近藤繁樹事務局長
近藤繁樹事務局長
(エコテック・ジャパン社長)
岡本義行会長
岡本義行会長
(法政大学大学院教授)
ウィリー・ボイト氏
ウィリー・ボイト氏
(3pコンソーシアムCEO)
Dr. Manfred Brinkman氏
Dr. Manfred Brinkman氏
(TUV CDMマネージャー)
Ben Lyons氏
Ben Lyons氏
(AWI CSR/SCMマネージャー)
清水二郎氏
清水二郎氏
(東京工業大学名誉教授)
 
 
 
第6回「CSR&コンプライアンス国際フォーラム2008」が開催されました。

◆ 開催日時 平成20年 4月16日(水)
午後1時30分 - 午後5時15分
◆会場    江戸東京博物館 1F 会議室
◆参加人員 120人
   

第6回CSR&コンプライアンス国際フォーラム2008が 「グローバル・サプライチェーンに対応するCSR調達戦略」と題し開催された。

冒頭、近藤繁樹エコテック・ジャパン社長(フォーラム事務局長)は、禁止染料の使用発覚の事件事例をあげ、「日本でも輸出拡大などが言われているが、ヨーロッパでは衣料分野で品質・環境問題に対する規制が厳しくなっている」と注意を促し、今後「CSR調達」を柱にしていく方針を示した。

岡本義行会長の挨拶、
3pコンソーシアムCEOウィリー・ボイト氏の講演
「世界におけるサプライチェーンとリスクマネジメント」に続き、
上原修・日本サプライチェーンマネジメント協会TM理事長の講演
「日本企業の社会的動向 サプライ・マネージャーの責任」、
西面和巳・イオン環境・社会貢献部イオンサプライヤーCoC事務局長の講演 「イオンサプライヤーCoC「取引行動規範」」、
小林道和・エドウイン商事専務の講演 「「エドウイン」ブランド構築における調達・生産戦略」が行われた。

イオンの西面事務局長は、プライベートブランド「トップバリュ」に関わるサプライチェーンマネジメントの中で、 SA8000(人権と労働環境国際基準)をベースに2003年3月、サプライヤーCoC取引行動規範を導入した経緯と背景を説明。特に最近、雇用労働環境と環境などの社会的側面を重視していると話した。

エドウインの小林専務は、CSR調達を妨げる要因として
@現場不在、コスト要求のみが優先される製品作り
A生産性の追及からサプライヤー間のコスト競争への変化
B「目利き」と呼ばれる人材の減少による、不正や手抜きを見抜く力の減退−を指摘。
CSR調達体制を確立するために
@調達活動に携わるメーカーや商社において、「目利き」となる人材を養成していく
A生産を請け負うサプライヤーは、コスト追求に対する正しい方策を理解する−など、 アパレルメーカーとして国内を中心に実際にモノ作りをしている立場から方策をあげた。
 
近藤事務局長
近藤繁樹事務局長
(エコテック・ジャパン社長)
岡本会長
岡本義行会長
(法政大学大学院教授)
ステファン・  フロスト氏
ウィリー・ボイト氏
(3pコンソーシアムCEO)
上原修氏
上原修氏
(日本サプライチェーンマネジメント協会TM理事長)
西面和巳氏
西面和巳氏
(イオン環境・社会貢献部イオンサプライヤーCoC事務局長)
小林道和氏
小林道和氏
(エドウイン商事専務)
 
 
 
第5回「CSR・コンプライア ンス国際フォーラム2007」が開催されました。
会場風景
◆開催日時  平成19年 4月18日(水)
午後1時30分 - 午後5時30分
◆会場     江戸東京博物館 1F 会議室
◆参加人数   100人

     

 第5回となるCSR&コンプライアンス国際フォーラムが2007 年4月18日(水)に東京墨田区の江戸東京博物館で行われた。今回はサブテーマとして「グローバル化に対応するCSR・リスクマネジメント戦略」と題し、 YKK知的財産保護室の古稲計氏による「不正商品・偽物における知的財産権の対応」、法政大学の岡本義行氏の座長によりCSM-2000を取得したエド ウィン、ダイドーリミテッド、三景、フレックスジャパンとのパネルディスカッションが行われたほか、3Pコンソーシアムのウィリー・ボイト氏による「世 界におけるCSRの事例」、厚生労働省の城井裕司氏から「GHSの動向について」説明があった。

 YKKは世 界70カ国に88工場270拠点をもつグローバル企業だが、YKKのマークをそのまま利用した商品が90年代から増加しており、この対策に偽物を使った商 品の輸入差し止めや店舗でのチェックなど世界的なネットワークで取り組んでいることが説明された。この結果、最近の例では1ヶ所で24.6t、600万本 分の偽ファスナーを押収したとの報告もあった。また類似ブランドも登録しており、この中にはTKK、YRR、YICICや縦に並べると紛らわしいVIKK やVKKなども保護されているとのこと。また実際に現場で押収した場面のVTRも披露されるなど興味深い内容であった。

 3 -Pコンソーシアムのウィリー・ボイト氏は「CSRをツールとしてサプライヤーのチェックをしていくと不適合企業が増え、サプライヤーがなくなってしまう 恐れがある。監査だけでなく監査結果に基づいた是正指導が重要である。また、企業成績の報告はこれまで財務中心であったが、今後は環境、労働など企業の安 心、製品の安全を含めた報告が必要であり、現在はこれらを市民社会がチェックする時代となった。また、チェックに基づく改善はサプライチェーンを含めた組 織的、計画的かつ継続的にすすめる必要がある」と話された。

 パネルディスカッションでは各社CSM- 2000取得に取り組んだ動機は様々だが、取り組んだ結果、海外の工場において社員の意識も含めた改善が進んだことを評価していた。これまで、日本のアパ レルは国内市場中心であったため、生産現場の知識や経験を適応するのに暗黙知(アウンの呼吸)で進めてきた。しかしながら海外に出て行くと、これは通用し ない。技術は文書に表すなど、世界標準を最低限作っていくべきであり、これにより共通の尺度で業務改善も進む。

  また、日本ではこれまで特に意識しなくとも比較的安全安心な社会であった。そこでは「だます人が悪い」ということだが、海外では安心、安全は自分で確保し なければならず「だまされる人が悪い」。こういった価値観の相違を意識することが必要であり、企業としてもリスクを知り、存続するためにはシステム的に チェックすることがグローバル化の中で必要となっている。CSM-2000は多民族国家と長いこと仕事をしてきたヨーロッパで構築されてきた標準であり、 グローバルなツールとして有効であるとの結論であった。

 厚生労働省の化学物質対策課の城井裕司氏からは 「GHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)の動向について」報告があった。日本ではこのGHS国連勧告に基づき、労働安全衛生法が改正 され、危険を生じる恐れのある化学物質として次亜塩素酸カルシウム、硝酸アンモニウム、ニトロセルロースが追加されたこと、また、危険を表示する方法など に関しての説明があった。

城井 裕司 氏 Photo   パネルディスカッション風景

 
岡本 義行氏 Photo
ウィリー・ボイト氏 Photo
古稲 計 氏 Photo
小林 道和 氏 Photo
松岡 信行 氏 Photo
加藤 正博 氏 Photo
徳武 初男 氏 Photo
 
 
 
第4回「CSR・コンプライアンス国際フォーラム2006」が開催されまし た。
会場風景
◆開催日時  平成18年 4月13日(木)
午後1時15分 〜 午後5時30分 
◆会場     江戸東京博物館 1F 会議室
◆参加人員  100人



   
通算4回目、会の名称を「エコテック ス(CSM2000)標準研究フォーラム」から「CSR & コンプライアンス研究フォーラム」に改めまして始めての国際フォーラムを開催いたしました。
CSRは「企業は社会の一員として説明責任を果たすべき」という考え方が定着したのは、市民社会やステークホルダーの行動の変化によるところです。顧 客、取引先、従業員、地域社会に対して、企業を取りまく社会の価値観の変化に伴い、企業活動に具体的な影響を与えようとする行動が顕著になりました。それ には「サプライチェーン活動の透明性」「商品の保証と説明責任」「企業内のガバナンス」の説明責任分野について包括しなければなりません。この観点から基 調講演とその事例講演を5人のスピーカーにお願いしました。


基調講演
前回に引き続き、特別講師として南アフリカ共和国 全権駐日大使Dr. BS Ngubane氏に来場いただき、世界経済のグローバル化が進む中、発展途上国におけるCSR取り組みの課題と意義、及びCSRをツールとして利用し、企 業の利益を確保しながらも人類と地球環境により良い活動と理念を突き通すという概念を理解することでより良い労働環境と生活条件を確保することにつながっ て行くことを講演いただきました。 
またドイツ 3P Consortium CEO Willie Beuth 氏から倫理・社会的責任・環境要求に対する自主活動としてブランド保護の課題と対策を、さらに香港 CSR アジアセンター局長 Dr. Stephen Frost氏からアジアにおけるCSRの現状と考察として中国企業への取り組みを講演いただきました。


事例発表
欧州小売業界は、店頭にある商品を小売店自らが責任を持ち、消費者に保証するのが当然となっています。もちろん日本の小売業界おいても、この動きが活発化 しております。


Global Sustainable management GmbH社 Birgit karpa Beuth氏からスイス MIGROS社におけるサプライヤー取引行動規範とエコモニタリングの実施概要として、消費者に対し、その商品がサ プライチェーン上において「何処で」「誰が」「どのような物質」で製造したかを明確に説明することを企業責任と認識し、商品の安全・安心性を企業ブランド 力と顧客関係に繋げているかの事例を、またイオン株式会社 環境・社会貢献部CoC事務局長 古澤準一氏からイオンが消費者に品質保証に加え、環境保護、 社会的責任、安全衛生・健康に配慮し、かつ公正な商取引のもとにつくられた商品であることをサプライチェーンも含めて保証することの重要性の認識に立ち、 サプライヤー取引行動規範の導入実施してきた成果について講演いただきました。
 
南アフリカ共和国  特命全権大使 ボールウィイン・ ングバネ閣下
南アフリカ共和国
特命全権大使
ボールウィイン・
ングバネ閣下

ウィリー・ボイト氏
ウィリー・ボイト氏

ステファン・  フロスト氏
ステファン・フロスト氏

カルパ・ボイト氏
カルパ・ボイト氏

古澤準一氏
古澤準一氏
 
 
 
「第3回コンプライアンス国際セミナー2005」が開催されました


◆開催日時  2005年4月8日(金)
午後1時15分〜午後5時
◆会場     東京都江戸東京博物館 1F 会議室
◆参加人数  120人

「第 3回コンプライアンス国際セミナー2005」には、会員さま及び会員様よりご紹介いただいた多数の方々にご参加いただき、活発 な質疑応答を含めて盛会のうちに無事終了することができました。
また、懇親会にも多数の方々にご参加いただき、情報交換の輪が広がりました。
今回のセミナーは、第1部基調講演と第2部事例発表の2部構成で行なわれました。

第1部の基調講演
南アフリカ共和国 全権駐日大使Dr.BS Ngubane氏、3P Consorutium CEO Willie Beuth氏より、世界規模で、サプライチェーンを含めた品質、環境、社会的責任を包含した経営システム即ち、「持続可能な経営」構築の重要性、更に、消 費者の関心が単に、品質・価格から「どの様に作られたか」に移行し、CSRの対応が悪いと商品ボイコット運動などに発展する危険性が高いことを講演してい ただきました。
また、TUV Rheinland アジアグループ取締役副社長Kurt k Heinz氏およびマネジメントシステム部Manfred Brinkmann氏より、TUV社の歴史、世界52カ国のネットワーク、業務内容の紹介を講演していただきました。

※ 業務内容
電気機器、家庭電器、IT関連機器、産業機器、自動車安全試験、自動車部品、航空宇宙関連、変電 所、医療機器、テレコム関連、ガス器具、玩具、運転免許発行、車検など世界の安全規格・試験の製品認証業務、その他、マネジメントシステム認証(CSM- 2000、ISO-9000、ISO14000、SA-8000など)業務
※ CSM−2000及びイオン株式会社サプライヤーCoCの監査認証は、TUV社が行なっています。

第2部の事例発表
イオン株式会社 環境社会貢献部CoC事務局長古澤準一氏、株式会社ダイドーリミテッド 管理本部広報サービスセンター・センター長松岡信行氏より、イ オンCoC(イオンお取引行動規範),CSM−2000と取り組んだ理由及び認証に到る経過を講演していただきました。そのなかで、「第3者機関による認 証であり公正である」、「認証を得る過程でリスク管理が構築される」、「価値観の共通化が図られる」、「商売にも繋がっている」等の評価をいただきまし た。



コ ンプライアンス国際セミナー2004が開催されました。

開催日:2004年4月9日
場所:江戸東京博物館 会議室
参加人員:120名

<内容>
1.「欧米におけるメーカー、小売業の潮流」
eco-texコンソーシアム代表ウィリー・ボイト氏
欧米では小売りに対する企業倫理、社会的責任のプレッシャーが増大し、実際にリーバイスやGAPはNGO(非政府組織)の攻撃に対して常に戦っている状 態であるが東南アジアなど発展途上国ではまだ認識が低い。2004年末のフリークォーター制により調達範囲が拡大する反面、コンプライアンスの必要性が高 まると指摘。
2.「TUVの活動」
TUVアジアパシフィック認証部長ラルフ・シュンク氏
TUVは1872年に蒸気機関のチェックから始まった120年以上の歴史のある認証機関であり、世界44カ国に153箇所の拠点を設けている。ドイツで は車の安全試験や車検も行っており上海のリニアモーターカーの安全試験も行った。業務の中で取引先が品質要求を満たせるか判断するSCQM(Supply Chain Quality Management)が重要であり、アジアにおける業務は1995年にスタートし、需要は急拡大している。

3.「取引行動規範」
イオン(株)のサプライヤーCoC事務局古澤準一氏
ここ数年自動車会社のリコール隠しなど企業の社会的責任(CSR)がクローズアップされている。イオンも数年前にタイ・中国の工場実態を調査しイオン基 準を作ることになった。現在自社ブランドの「TOPVALU」のサプライヤー・メーカーに実施している。生産国地域の法律を遵守していることおよび 「児童労働」「強制労働」「賃金」の3項目を重点としている。コストはかかるがリスクの軽減となり、さらには商品を品質と価格だけで説明するものではな く、イオンとサプライヤーが製造過程に関しても説明責任を履行できるようになった。

4.CSM2000導入の実際
ダイドーリミテッド/ダイドートレーディング小山洋隆部長
ダイドーは豪州に牧場を持ちSheep(羊)からShop(店)まで一貫した生産販売を行っており、製造は中国で行っている。昨年の国際セミナーでは日 本で初めてCSM200取得企業として導入時の話をしていただいたが今回はサプライヤーを含めた中国5工場の導入経緯を説明された。
 

eco-texコンソーシアム代表
ウィリー・ボイト氏


TUVアジアパシフィック認証部長
ラルフ・シュンク氏


イオン(株)サプライヤーCoC事務局
古澤準一氏



ダイドーリミテッド/ダイドートレーディング
小山洋隆部長


エコテックス(CSM-2000)標準研究フォーラム
岡本義行会長
(法政大学大学院教授 経済学博士)

 
     
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